狂った獣の一夜<1/3>
月が満ちる夜は、どうしようもなく気が狂う。
俺はせめぎ合う理性と本能との狭間で、必死に意識を繋ぎ止めていた。
先程、自分以外の気配を感じ、条件反射で飛び掛かった相手。
それは俺が今、苦しいほどに心乱されている女だった。
酷く甘美な香りを漂わせているその女は、俺に組み敷かれて足をばたつかせている。
頭の中で警鐘が鳴り響く。理性では、彼女を解放してやりたかった。
しかし、本能がそれを許さない。
転がり込んできた獲物の身体を狂おしいほどに求めている。
身体が言うことを聞かないことに、俺は残った理性の片隅で焦った。
このままでは、本当にリリィを……!
俺は無意識に、ごくりと喉を鳴らした。
見まいとしていた彼女の身体を、耐えきれず舐めるように目で辿る。
暴れている彼女の頬は赤く染まり、大きなぬばたまの瞳は濡れだした。
そしてさらに視線を落とすと、やわらかそうに膨らんでいるシャツの下、その頂きが薄く透けている。
ああ、もう駄目だ。
それを見た瞬間、最後に残っていた理性が弾け飛び、本能が勝った。
熱に浮かされたように悪いと呟くと、俺は衝動のままに彼女の肌へと舌を這わせる。
ねっとりと、白くなめらかな肌を舐め上げる。きめ細やかなそれは、思った以上にやわらかかった。
頭を振って嫌だと悲鳴を上げながら、リリィの身体は小さく震えている。
しかし、既に理性を失った俺には、彼女の拒絶の声は最高の興奮剤だ。
リリィの可愛い蕾……男物のシャツに透けて薄く浮かび上がるそれへ、かり、と歯を立てる。
「あああっ!」
俺の行為に、彼女は絶叫して身悶えた。
強い痛みと刺激とに、その身を跳ねさせて。
ああ、俺の本能が歓喜に震えている。
本当はずっと心のどこかで彼女を襲いたかった。それは願望だ。俺はそれから目を背けていたに過ぎない。
彼女の纏っているシャツの前へと手を掛け力任せに引っ張ると、ボタンが弾けて白い柔肌が露わになった。
美しい。そして、とても美味そうだ。
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