拍手のお返事は『返書』にて。
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私は全速力で逃げていた。この城に来てから、というか一方的に拉致されてしまってからというもの、ハプニングのない日は一日たりともない。
息を切らしながら走る私を追いかけてくるのは、ぱっと見たところは10歳前後の少女。彼女の名はイザベラ。可愛い少女の身なりをしているが、その実態は見た目の何十倍も生きているという、王宮お抱え魔女。加えてとんだトラブルメーカーである。
「よいではないか〜、よいではないか〜!」
「全然まったく、よくなんかありませんー!」
ほとんど疲れというものを見せない彼女は、不気味な色の液体が入った小瓶を持って追いかけてくる。どうやら私を、自らが開発した新薬の実験台にしようという算段らしい。
ついこの間も、彼女の怪しげな薬による被害をこうむっている私としては、ここはどんな手段を使っても逃れなければならない。
「リリィ、そなた諦めが悪いぞ。ここは黙ってわたしのえじ……わたしに協力するのだ!」
「今っ、餌食って……!」
彼女に捕まったら、自分の身にどんな災厄が降りかかるかわからない。不穏な台詞を聞いてしまった私は、最後の力を振り絞ってスピードを上げる。だらだらと追いかけっこをしていても埒が明かない。ここはなんとしてもイザベラをまいて、平和な時間を手にしなければ。
風を切って走りながら庭園を抜け、私は城内へと駆け込んだ。さっと屋内に視線を走らせて逃走経路を確認する。一瞬の判断が、今日の私の運命を左右すると言っても過言ではない。
「どこか、隠れられそうなところは……!」
そろそろ体力の限界だ。とりあえずどこかに身を隠して、彼女をやり過ごさなければこちらの身がもたない。長い廊下の角を曲がり階段を駆け上る。ちらりと後ろを振り返ると、イザベラも今まさに階段に足を掛けようかというところ。
このままいけば、もう少し引き離せるかもしれない。私は息を弾ませながら、出来る限りのスピードで目の前の段差を踏みしめて、さらに上の階へ。しかし、階段を上り切って私は一瞬、躊躇した。
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