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遊星×ショタ
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「はい遊星、あーん」

「ん」

 口元に伸びた手に摘まれたチョコレートと共に十夜の指も咥えると少年はくすくすと笑った。甘いものを好まないナーヴがたまたま手に入れたチョコレートはラリーと十夜に渡り、その分け前を今、俺は十夜の手から受けていた。

 俺もチョコレートは好きで、ついでに言うならチョコレートよりも十夜が好きだ。口腔の熱ですぐに溶けたチョコレートを小さな指に押し付けて、好きなもの同士を味わうように優しくゆっくりと舐め取ってやる。ぬるりと滑る感触に少年は「ゆーせぇ、やぁだ!」と可愛らしく拒否したが、ほんのり赤く染まる頬は嫌そうに見えないため俺はそのまま彼の指をしゃぶっていた。

「もー、遊星にはチョコあげないからな!」

 ぷくりと頬を膨らませた顔が非常に可愛くて思わず頬を緩ませたとき、離すつもりはなかったが十夜の指が口から逃げてしまった。もう少し恥ずかしがる姿を見ていたかったのだが、離れてしまっては仕方ない。

「すまない。十夜が可愛くて」

 俺の膝の上に乗った十夜は怒っているのだとアピールするためかフイと顔を逸らしたが、それでも彼の額や目蓋に何度も口付けを落としていると、やがて気が変わったのかこちらを見てにっこりと笑った。相手を和ます力のあるこの笑顔は、まさしく花が咲くような笑顔、だろう。

「ゆうせぇ、チョコおいしい?」

 ぺたりと俺の胸に頬をくっつけ上目がちに聞いてくる。自分で食べるつもりがないらしい十夜の小さな手に握られたチョコレートを1つ掴んで彼の唇の前に翳すと、少年はぱくりとそれに食い付いた。先ほどの俺への仕返しなのか、口の中の親指と人差し指にちゅうちゅうと吸い付く。いかがわしい想像が掻き立てられる。

 チョコレートを転がす舌を優しく愛撫するように撫でていると十夜はどこか艶っぽい息を漏らして、そのあとまたくすくすと笑った。

「ん、甘くておいしい!」

 無邪気に喜ぶ彼の小さな頭に手を添えて、僅かにチョコレートで汚れたぷくりと愛らしい唇に吸い付いた。甘い味のする唇を喰むように甘噛みして、薄く開かれた口腔に舌を差し込む。俺のそれも甘いだろうが、不思議と彼の舌はそれ以上に甘く溶けるような味がした。

「んっ、ゆぅ、」

「可愛いな……」

 俺の胸元のシャツをきゅっと握り締めて耐える姿を窺いながら少年の頭を撫でてやった。すぐに体の力が抜けてちろりちろりと舌の動きに応えだして、俺はたまらない気持ちになる。
 これで終わりだと軽く唇を吸って顔を離すと、濡れた瞳でぼんやりと俺を見つめる十夜の顔がそこにあった。

「……おれ、チョコ好き……」

「チョコレートだけか?」

 夢見心地の十夜に問えば、彼はふるふると顔を振った。ねだるように再び少年の顔が近付いて、赤い舌が唇の合間から覗く。

「遊星、すき」

 薄く笑み額にキスを落とすと、少年は嬉しそうに頬を赤らめて笑った。

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