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大蛇丸様と
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「大蛇丸様ってば、最近サスケのことばっかり!」

 怒りを込めてそう言うと、ベッドの壁際に上半身を預けて座る大蛇丸様が、ほんの少し目を瞠って僕を見ていた。サスケとかいう木の葉名門うちはの小僧を手に入れてからというもの、大蛇丸様は口を開けばサスケのことばかりだ。面白くない。全っ然面白くない。

「あら……お前、サスケくんに妬いてるの?」

 笑いを含んだ声がそう切り返す。悪態に笑みを返す大蛇丸様は意地悪だ。僕は頬を膨らませて頷く。

「だって、いっつもいーっつもサスケのことばかり気にかけて! 僕はもういらないの!?」

「そんなことないわよ……来なさい」

 ベッドの横で未練がましく大蛇丸様を睨め付ける僕に、大蛇丸様はそう声をかけた。目配せされた大蛇丸様の膝によじ登り跨る。すぐ隣で薬の準備をしているカブトがチラリと僕を見た。

「カブト、脱がせておやり」

「はい」

「僕に触るな! 自分で脱げる!」

 大蛇丸様に言われてカブトが僕に近付いたが、伸ばされたカブトの手を僕は跳ね除ける。こいつも大蛇丸様のお気に入りだから、手を借りるなんて癪だ。犬歯を剥き出して威嚇すると大蛇丸様が「あらあら……嫌われてるのね」と笑って、カブトが苦笑いのような変な表情を浮かべた。
 ボタンを外すのが苦手な僕は少しもたついたけど上着の前をくつろげて袖を抜く。大蛇丸様が目を細めて笑った。

「お前の体はいつ見ても美しい……私がお前を捨てるわけないでしょ?」

 僕の体には蛇が巻き付いている。墨で刻まれたようなそれは首の付け根……鎖骨の辺りから胸、背中、腹、腰、そして足まで、まるで僕を絞め殺すみたいにグルグルと絡み付いている。大蛇丸様はこれを大層気に入ってくれて、僕はこの忌まわしい呪印が好きになった。にゅるりと伸びた大蛇丸様の舌が僕の体表の蛇をなぞる。ぬるぬるで温かいそれが胸から腹へ下りていくと思わず声をあげそうになった。歯を食い縛り堪えていると、大蛇丸様が僕の名を呼んだ。

「声を殺せと誰が命じたの……? お前は誰のものかしら?」

「あっ……お、大蛇丸さま……っ」

「その通りよ。さあ、下も脱ぎなさい」

 僕は頷いてズボンを脱いだ。ベッドの上で立ち上がり服を脱ぎ捨て、大蛇丸様の前に膝立ちになる。カブトはすぐに顔を背けて、大蛇丸様の瞳だけが僕の右足にまとわり付く蛇を見て何かを呟いた。蛇も大蛇丸様を睨んでいる。その瞬間、ギリ、と体が締め付けられた。

「あ、ぐぅうう……ッ!」

 呪印に締め付けられる激痛。骨がミシミシ鳴るのが聞こえる。胸が締め付けられ呼吸が苦しくなる。痛い、苦しい、熱い。喉に食い込む蛇の尾が僕の意識を明滅させて、それを見ていた大蛇丸様が、うふふ、と笑った。

「カブト」

 呼ばれた男の手が僕の体に伸びた。苦痛に興奮して、僕のアレはいきり立っている。苦しくて痛くて泣いているのに、硬くなってしまったそれをカブトの手が握る。振り払う力もなく体を硬直させた僕は何も言えずに大蛇丸様を見つめた。

「これは私の手……分かるわね?」

 カブトの手が、大蛇丸様の手にすり替わる。幻術だ。大蛇丸様の手が僕のおちんちんを握って上下に擦る。頭の中が白く霞んでくる。

「あァ……ぉ……ちま、さまぁ……♥」

 どろ、と精液が溢れた。体が仰け反って、息を吸うのも吐くのも絶え絶えにビクビク体を痙攣させる。目の前が真っ白で何も見えない。僕はその場に倒れ込む。大蛇丸様が、また何かを言ったのが聞こえた。





 気が付くと僕は床に横たわっていた。体の痛みはない。呪印は大人しくなっているようだった。節々が痛んで体を動かす度に呻く僕に、ベッドに座ったままの大蛇丸様が視線を寄越してくれた。周りにカブトの姿はない。ほんの少しだけ優越感を感じた。

「お前は特別……私のお気に入り。分かったかしら?」

 その言葉に僕は頷く。特別。お気に入り。それが僕の糧だ。よろめきながら大蛇丸様に擦り寄ると、動かないはずのその手が僕の頭を撫でた。これもまた幻術なのだと、僕は気付かないフリをした。

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130127