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アニキと
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 シャワーを浴びてバイクでラーメン屋に行って揃ってチャーシュー麺食って、家に帰る頃にはアニキはすっかり出来上がっていた。運転するため酒を飲まないオレに遠慮していたようだが気にせず飲めと勧めると、酒好きなこの男は嬉々として生中を煽りこのザマだ。中ジョッキ一杯のビールで足元の覚束なくなった、オレより小さい年上の野郎の肩を支えてアパートにたどり着くと、アニキは玄関で崩れ落ちた。赤ら顔でへらへら笑いながら「あしがたたね〜」なんて言ってオレの腕を掴んできやがるから仕方なくため息をついて、狭い部屋にある薄っぺらい布団に投げてやった。

 転がる男の腕から時計を外しベルトを外し、悩んだ末にスラックスを脱がせることにした。放り出されたスーツのジャケットと一緒にそれをハンガーに掛けて、ついでに男が着ていたワイシャツも脱がせてやる。変な皺がつくよりマシなはずだ。パンイチになったアニキはごにょごにょと小さな声で何かを言っている。恐らく礼の類いだろう。

 オレもシャツを脱いでジャージのズボンに履き替えて、冷蔵庫に冷やしてある缶ビールを飲むことにした。
 大人しく横たわり眠りに落ちようとしている男を見ながらビールを口に運ぶ。オレはずっと昔からこの男に気が合ったため、下着一枚のこの姿はオレにとっていい肴となった。
 眠そうな目でうとうとと微睡み時折僅かばかりの身動ぎをする。肩に手を掛けこちらを向かせるとアニキはまた笑った。不本意ながら、トラファルガーがドタキャンしてくれたことに感謝だ。

「んむ……キッド〜?」

 顔を近付けキスをする。素面では嫌がるこの接触も、酒が入ると何の抵抗もなく受け入れる。普段何かと年上面したがる男ではあるが、内側から崩せばなんてことないただのガキ同然だ。アニキの顔の横に腕を置いて体を支えながら唾液でぬめる舌を吸う。互いに酒臭いのも気に留めず、オレは存分にその感触を貪った。

 長いことキスしていると徐々に唇の感覚が麻痺してきて、一度口を離したオレは大人しく横になる男の腰を跨ぎ馬乗りになった。口の周りを唾液で濡らしたアニキはぼんやりとした顔でそれを見ている。パンツ一枚の股間を弄るとアニキのチンポは少し硬くなっていてオレまで興奮する。オレはもちろん既にギンギンだったが。

「キッド〜、そんなとこさわんなよぉ……」

「うるせェよバカ、大人しくしてろ」

「こらぁ、わるいくち〜」

 重たそうに持ち上げた手でオレの唇を覆われた。そういえば子供の頃はよくこうされたものだと思い出したが、子供扱いはいつも通りのことだ。二つ年下の男にのし掛かられてチンポを握られているというのに、この酔っ払いには危機感はないようである。
 それはそれで好都合だし今更やんややんやと言われてもどうしようもないためオレは行為を続けた。

 口を覆う手の平にキスなんてキザな真似をしてみせるとくすぐったさにアニキは笑って手を離す。その手首を握って布団に押し付け再び小さな唇を吸った。柔らかく湿ったそれはしゃぶりつくとオレの唇にぴったり重なって、まるでオレのためにあるみたいだとすら思う。アニキが「んっ」とか「あっ」とか時折声を漏らすせいでこっちも段々とマジで興奮してくる。息も絶え絶えに舌を絡ませ吸ったり噛んだり擦り合ったりしていたとき、不意に携帯の着信音が鳴った。無視しようかとも思ったが、こんな夜中に電話してくる人間に心当たりは一人しかおらず、そしてそいつは恐ろしく執念深いためオレが応答するまで何度も電話を掛け続けるはずである。

 止むを得ずポケットの中から携帯を取り出し、アニキの唇にむしゃぶりついたまま通話ボタンを押した。ピッという電子音のすぐあとに、相手の男が話し出す。

『アニキは?』

 名乗るどころかもしもしとも言いもせずトラファルガーが疑問を投げ掛ける。こいつは少しストーカーの気があるというか、とにかく行動力が半端ではないため、恐らくアニキの家を訪ねたはずである。そしてそこにあるべき姿を確認出来ず、オレのところへ渋々連絡しているのだ。
 オレはわざとらしくチュパッと音を鳴らしながらしばらくアニキの口内を舐め回した。オレとトラファルガーが想いを寄せる男の甘ったるい声が「やぁ、キッドぉ……んちゅ、はふ……ろぉ?」と電話の向こうの人物を確認する。受話器の奥で微かに息を飲む音が聞こえた。あの変態のことだ、生唾を飲み込んでいるに違いない。

「おー、トラファルガー。アニキならオレのベロおしゃぶりしてるとこだぜ?」

「キッドぉ、おわりかぁ?」

「んなわけねェだろ、もっとしてやるよ。じゃあ切るぜ、トラファルガー」

『殺す』

 オレが電話を切るより早く男はそんな物騒なことを言い一方的に通話を切りやがった。いきなり電話を掛けてきておいて用が済んだら即切る辺り相変わらずの自由人だ。
 間違いなくこのあとこの家に押し入って来るであろう男を想像して、オレはとりあえず二人きりで一発抜いておこうと、取り出したチンポをアニキの口へと押し付けた。

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121021