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マゾヒズムの話
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 浴室のタイルに頬と手の平と肩とを押し付け膝立ちになった遊星が、はあ、と吐息を漏らした。冷えたタイルに体温を奪われるかと思いきや彼の頬は赤く火照り、まだまだ余裕のありそうな面持ちである。とはいえ流石に情欲に煽られて、普段理知的な鋭い光を宿す瞳が今は熱に浮かされていた。言葉は発さず、ただその視線が縋るかのように俺を見つめていた。

「イキたいなら、壁に擦り付けていいよ。でも汚れたところは舐めて綺麗にするんだ。いいね?」

 俺がそう言うと彼は目蓋を伏せる。眉を顰めながら肩を震わせる様子を見るに羞恥に打ち震えているのかもしれないが、それにしたって彼の股間ではきちんとアレがいきり立っている。今から自ら進んで行うであろう行為を俺に見られるのと同じくらい、そのあとに待ち受ける快楽を期待しているのかもしれない。しかし、だからといって俺の言葉に答えないのはイケナイコトなのである。すっかり羞恥と屈辱に酔いしれている遊星の、剥き出しの尻を平手で叩いた。破裂音と共にひゅっと息が漏れ、驚愕に見開かれた瞳が俺を振り返る。彼の唇の端からは唾液が一筋溢れていた。

「返事は? イキたいのか? それともまた、縛ったまま酷くされたい?」

 からかう口調でくつりと笑えば遊星の顔と、黒い髪の隙間から見える耳までもを染めながら唇を噛み締めている。きっと両方されたいのだ。どちらも行なったことがあるが、尻尾を振る犬のようにチンポを揺らして彼は喜んでいた。俺はどちらでも構わなかったが、どうせなら遊星がしたいことをしてやろうと思った。
 震える唇が微かに動いて「イ……イき、たい……」熱にかすれた声で囁く。俺は「いいよ」と頷いた。遊星の腰を掴み誘導するように壁へとそれを押し付けた。

「ああぁ、ぁ、んっ、はぁ、ぁ……ッ」

 先走りでぬめる先端が冷えたタイルの表面を滑る。ぐちゅりと音が鳴る度に壁に白い液体が塗り広げられ、遊星の口からは上擦った声が次から次へと溢れてくる。最初のうちは俺が押さえて動かしてやっていた腰が、次第に彼自らの意思でゆるゆると前後に動き出す。唾液を垂らし夢中で自慰に耽る遊星の足の間へ手を差し込み、間にぶら下がる柔らかい袋を優しく揉んだ。キュッと上へ持ち上がるそれを満遍なくマッサージしてやると彼は甘ったるい悲鳴にも似た嬌声をあげて乳首を壁へとすり寄せた。

「あとでちゃんと舐めような」

 頭を撫でながら囁くと遊星は何度も大きく頷いて、壁に縋りつきながらどぷりどぷりと、盛大に射精した。

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100413