×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


幼馴染
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 寝付きが悪くて一時間ほどベッドの中で悶絶していた挙句、ようやく睡魔が訪れてうとうとしていた頃だ。鍵も掛けていない俺の一人部屋のドアが開いて、折角もう少しで眠れたというのに目が覚めてしまった。こんな真夜中に訪れてノックもせずに部屋に侵入するのはローしかいない。

「オイ」

 流石に腹が立ったので寝たフリを決め込んだ。幸い頭までタオルケットを被っていたため、そう容易くは見抜かれないはずである。
 呼びかけても返事をしない俺に早くも痺れを切らしたらしいローがチッと舌打ちをする。俺は内心ビビっている。
 足音が響いて俺の寝ているベッドへと近付いてきた。寝たフリをしていたと知られたら殺されるかもしれない。サッと血の気が引いてきつく目を瞑った。こんなことなら意地を張らず素直に起きておくんだった。後悔は先に立たず、俺の心臓は緊張ではち切れそうに鼓動している。

 ローにしては随分大人しい手付きでタオルケットが引き剥がされた。眠っている人間の掛布を剥ぐ辺りは流石に容赦ないが、それでもベッドから落ちるほどの勢いでめくってくる朝と比べれば雲泥の差だ。もしかしたら酒でも入っているのかもしれない。
 目を瞑っているせいで窺い知ることの出来ないローの顔を想像しながら、眠っている人間を演じ続ける。起こすなら起こすで、起こさないなら起こさないで、とにかく早く行動してほしい。泣きそうになりながらローの動きを探っていると、唐突に頭を撫でられて、それから口にキスをされた。最初は何か食べ物でも押し当てられたのかと思ったが、舌が入り込んできた時点でそれは違うと悟って、一気に頭が真っ白になった。何故、キスを。じゅる、と舌を吸われる。背中がゾクゾクするのが分かった。

「起きてンじゃねェか」

 見開いた俺の目にローが映る。ローの目には俺の姿が反射していた。パンツとシャツで寝る派の俺はベッドの上で硬直していて、それをいいことに幼馴染はパンツを引きずり下ろしてきた。あっと声をあげる間もなく俺の両足が胸まで引き寄せられ尻がローの眼下に晒される。恥ずかしいとか以前にもう意味が分からない。俺は混乱していた。

「やっぱりキスじゃ濡れねェな」

 そりゃそうだ。俺は頷く。

「気持ちよくねェままさっさとおれをイカせて終わるか、時間掛けて気持ちよくセックスするか、選ばせてやるよ」

 それをまんぐり返しにしたあとに聞くかよと突っ込みたくなったがローは短気なので言わない。どちらかと言われれば、オナホのように扱われるよりは自分も気持ちいい方がいいに決まっている。しないという選択はないようだが、それでも扱いを選ばせてもらえるだけ何だか今宵は境遇がよかった。

「き、気持ちいいのがいいけど……」

「……チッ。面倒くせェ」

 じゃあ聞くなよ……一瞬ムッとしたが、ローが手に取ったローションを見て不思議に思った。俺の部屋にはないはずのローションが転がっているということは、ここにいるローがわざわざ持参してきたということだ。扱いを尋ねたわりに、もしかしたら最初からしっかり慣らしてくれるつもりだったのだろうか。
 口では嫌味ばかりだが実際は本当に優しいなと感動していると、ローションのキャップを開けて、その冷たい液体をそのまま尻へと垂らしてきた。思わずヒィッと息を飲むとビクンと足が跳ねて、それ嫌ったローがまた舌打ちをする。

「足抱えてろ。動くんじゃねェぞ。あと冷たくても気持ちよくてもバカみてェに喘ぐな。萎える」

 ご無体な話である。そもそも男を組み敷いてる時点で萎えそうなものだが、一体ローは何で興奮しているというのか。言われた通り胸の前で両膝を抱えてなるべく動かないよう、声を上げないよう口を引き結んだ。腰の下に俺の枕が押し込まれて、そのあとすぐにローの指が中に入ってくる。一気に二本だ。容赦がない。

「っく……」

 痛みはないものの異物感はどうしても拭えない。力を入れないように息を吐くと声が漏れそうになって奥歯を噛み締めた。ローの骨張った指がゴリゴリ中を抉ってくる。触られてもないナニが硬くなる。特に引き抜かれる瞬間はまるで排泄をしているような抗いようのない感覚を生んで、指をきつく食い締めたのが自分でも分かった。ローが鼻で笑う。

「変態」

「ち、ちが……っ」

「喋んな。萎える」

「んんっ……」

 指が増やされまた中を擦られる。無理矢理足を開かされ尻に指を突っ込まれているというのに、何でこんなに気持ちいいのか自分でも分からない。ぬめる指が穴の淵を行き来する度に自分のムスコがヒクつくのを感じる。頭がおかしくなりそうだ。

「入れるぞ」

 返答を待たずローのアレが尻に当てがわれ中に入ってくる。上から下に、まるで刺しているような体勢だ。はぁ、と息が漏れてしまう。必死に声を我慢しようにも、腰を揺らされる度に肺が押し潰されて呼吸が漏れた。硬くて熱い楔のようなものが尻の中を埋めていく。怒られるかも、と頭の中では怯えているのに歯を食い縛ることも出来ない。ぶちゅ、ずちゅ、ローションがエロい音を鳴らしながら更に深く押し込まれていく。ふぅ、ふぅ、と俺の息も漏れる。

「声、出すな」

「んっ、でも、」

「返事」

「あ、アイ、サー、」

 何とか唇を噛み締めて堪える。ずるる、とアレが引き抜かれ、ぐちゅっという音と共に再び尻に収まる。恥ずかしいが、確かに気持ちいい。内臓を引きずり出されているような、非現実的な感覚だ。頭の中が白くなって叫びそうになるのをどうにか抑える。つらい。ぬぽっぬぷっぐちょっぐぽっ、断続的な音に合わせて肉棒が出入りする。気持ちいい。

「ふぅっ、はぁっ、んんっ、ぐぅっ、」

 下半身が熱くなった。漏らしているような感覚で自分が射精していることを知った。間違いなくあとでローに怒られる。しかし今はどくどく鳴り響く心臓と共に腰が跳ねるほど気持ちよかった。精液がびゅるびゅる俺の胸と顔に飛んでいる。ククッと笑ったローが腰を押し付けて、俺の尻の中で射精した。




 後処理などしてもらえるわけもなく、俺は部屋の中で一人、床に転がったままのローションを拾い上げた。死ぬほど心臓が痛いしずっと体を折り曲げていたせいで背骨も痛い。好きかって腰を振っていたローは勝手に射精したことに怒るかと思ったが、一発抜くと何も言わずにさっさと部屋に戻ってしまって、放置された俺は仕方なく気怠い体を起こした。ヤるだけヤって帰るなんて女に嫌われそうなものだが、それでも女に不自由しない幼馴染が少しだけ羨ましい。
 パンツを履き直した俺はひとまず顔に付いた精液を拭う。シャワールームへ行くため部屋を出ると、見張りが終わったのか、自室へ戻ってくるペンギンと鉢合わせてしまった。汗とアレの臭いで、賢明なペンギンは俺が今何をしていたか悟ったのだろう。盛大なため息をついている。

「はー……キャプテンか?」

「んー……」

 相手までよく分かるなと思ったものの、ロー以外にこんなことをしでかす人間はいない。何だか気恥ずかしいというか、いいように性欲処理に使われていると仲間に知られるのが情けなくて曖昧に笑うと、ペンギンは他に詮索したりせず、俺の頭を撫でてシャワールームまで付き合ってくれた。いいヤツである。

「着替え持ってってやるから、しっかり洗えよ。腹下すぞ」

「うん、サンキュー」

 ドアを閉めて服脱ぎ捨て、温かい湯を浴びながら息を吐き出す。俺にはもったいない、いい友達だ。申し訳なさとありがたさを感じながら、ヤりっぱなしで部屋に戻った幼馴染に小さく悪態をつくのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

120816