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東城会会長の弟との話
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 六代目には18歳の弟がおる。勿論30代も半ばに差し掛かる六代目のめっちゃ年の離れた実弟なんてもんではなく、どこぞで拾った、所謂養子っちゅーやつやった。頭も要領も器量も悪くはないし、六代目は常々から自分の身に何かあったら克也を後釜にと言うとる。そのくらいには出来た坊主やったが、なんやかんやべったべたに甘い六代目の教育のせいで、克也はすっかりアマチャンに育ってしもとった。兄貴兄貴と六代目の後を付いて回り、六代目がおらんかったらわしの後にくっついて回る。克也はとんだアヒルの子や。

「おっちゃん、野球のチケット貰ったんだけど、明日一緒に行かね?」

 わしの部屋へ現れた克也は開口一番そう言いおった。昔は口の利き方を注意したもんやが、今となっちゃあ最早どうでもええ。おっちゃんおっちゃんと慕ってくる克也は、慣れりゃこれも中々にかいらしいもんやった。
 お気に入りのスプラッタムービーを見ながら寛いでたわしやったが、広いソファのわざわざ隣に座る克也に仕方のお目線を移したる。手ぇには二枚、チケットが握られとった。

「なんでやねん。わしは明日は忙しいんや。六代目と行ったらええやろ」

「兄貴誘ったらおっちゃん誘って行ってこいって」

「なんでやねん!」

 うっかり身を乗り出して手の甲で克也の胸を叩いてもうた。っていうかわしは世話役でも何でもあらへんのに、六代目はわしにこいつを押し付けることが多すぎるんとちゃうやろか。

「なあおっちゃん。ダメ? 明日行けない?」

 もうちぃっと恥じらっても良さそうなもんやが、克也はそんな素振りも見せずに甘ったれた声でわしの肩に体重を乗せてきよる。いかに体格に差があってまだまだガキに負けへんかて、流石に身長170cmほどの男はよう重い。鬱陶しいでーと言外に体を捩ると、克也は更に服の裾を握って食いついてきよった。

「頼むよおっちゃん、ちょっとでいいからさ。野球デートしようって!」

「しぃひん。エッチなしのデートはしない主義やねんなぁ」

「じゃあエッチ込みで! それならいいだろ?」

「アホか、何言うてんねん……六代目が聞いたらショックで失神すんで」

「なら失神させないためにも付き合ってよ!」

 このガキが……頭が痛うなった。何が何でも野球見に行くつもりなんやろか。せやかてわしかて明日は子分共と出掛ける予定があってん、そない簡単に折れる訳にもいかへん。六代目も分かってそうなもんやったが、可愛い弟の願いはどうやっても叶えてやりたいもんなんやろか。被害が及ぶのは主にわしやが。

「……ええで。そこまで言うなら考えたる」

「え! マジで!?」

「おお。その代わり、わしにも体面があるさかい、条件飲んで貰わへんとなあ」

「もちろん。足でも舐めればいいのか?」

「んなわけないやろ、どこのSMプレイや!」

 いちいちボケんなやと呆れながらも出した条件は、克也にとっちゃ易しいもんやった。「そんなんでいいのか?」などと訝しがる克也が言われた通りわしの膝に乗る。重くはあったが、だからどうということはない。片腕を細い腰に回して互いの体を更に密着させると、克也はその反動でわしの首へ抱き付いてきおった。映画はぽんぽん先に進んどったがわしはもう何度も見たことがあるので内容のほとんどは覚えとる。せやから気にせず克也の腰を締め付けた。

「ずっとこんな格好してたらおっちゃん、映画見れなくね?」

「ええねん、もう何十回も見とる。こいつは傑作やで」

「ふーん」

 首に両腕を回した克也は如何にも興味なさそうな声でそう答えよる。興味ないなら振るなやと思うたが猫か何ぞかのように頬へすり寄ってきて、こらいよいよ本番やなと笑う。わしが出した条件はこれ、これなんや。

「なあおっちゃん……ん、ちゅーするだけでいいの?」

「おー、ええで。その代わり映画終わるまでたっぷり楽しませてもらおうやないか」

「分かった」

 線の細い青年の頬は柔らかくはなかったがまだ髭のじょりじょりはない。これでじょりじょりしよっとったらわしは泣くで。薄っぺらの唇がわしの頬に触れ、唇に触れ、すぐに離れていきよる。高校生が中年の膝の上で頬を摺り寄せキスをする。何ともやらしい画や。頬に触れとった唇が耳に移動してちゅっちゅと吸い付く。それに飽きると次は顎に降りて皮膚を甘噛みした。貴様は犬かいなと突っ込む気ものぉなっとって、わしはヒヒッと笑って克也の舌を舐めた。

「んっ、おっちゃんエロい……」

「大人の色気やっちゅーねん」

「俺にもある?」

「どーかのぉ」

 ちろりちろりと舌を擦り合わせながら交わす会話は実に間抜けなものやった。尻を撫で背中を撫でべろちゅーして、わしも中々ご奉仕しとるんとちゃうんか。克也はもっとわしに尽くしたって構へんやろに。

「なぁおっちゃん……明日、デートしてくれんの?」

「おー、考えとこか」

「エッチもありだよ」

「そいつぁありがたい申し出やんなぁ」

 肩に篭っていた力が抜け安堵したようなエロい表情になってきおった克也にそう答えた。こいつはよくとも、兄貴の方に知られたらこらぁ大事やなと笑てシャツの中に手を差し込むと、青年はにんまりと頬を緩めて「前払いね」と囁いた。

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