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セックスの話
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 及川は童貞ではなかった。いつそれを捨てたか定かではないほど、特に思い入れも思い出もなく、ただ誘われるがままに裸体を晒して行為に及んだ、その程度の初体験である。とはいえ及川は女子ではなかったので貞操観念に関しては比較的緩かったし、初体験は好きな人と、という多少の憧れはあったものの、実際経験してみたらこんなものか、意外と疲れるな、という感想しかなかった。

 それが今はどうだ、と自分を鑑みる。及川の自室のベッドの上、両腕で顔を隠し咽び泣く少女を愛おしいと思う。自分の腰へわだかまる快楽よりも、彼女を快楽の淵へ誘うことが何より重要だ、と。可愛いね、と囁けば少女の耳が更に赤く染まり、隠された表情を盗み見たいとすら思った。起こしていた上体を屈めて彼女の小さな体に覆い被さると密着した肌から体温を感じる。熱くて、汗ばんでいる。及川自身の肌もそうだったため、気にならなかった。

「ね……顔見たいな……みーちゃんの気持ちよさそうなエッチな顔、俺に見せてよ……」

 底意地の悪い自覚のある及川だったが、恋人に対しては不思議とそんな意地の悪い物言いは出なかった。甘えて、ねだって、童心を思い出したかのような拙い言葉ばかりが口から零れ落ちる。そうすれば少女が自分を愛してくれるということを知っているからかもしれない。
 顔を覆っていた細い腕が開かれて頭の横に落ちる。涙で濡れた大きな瞳は赤く潤んでいて、唇の合間から見えた舌は赤かった。この子は砂糖菓子だ、と及川は思う。甘くて、繊細で、目と心を奪う。涙を舌で拭うと、彼女のそれは当然甘くはなく、温かくて塩辛かった。

「と、おるくん……きもちいい……?」

「うん……すっごく気持ちいい。すぐ出ちゃったらごめんね……」

 経験値があるとはいえ所詮及川も高校生であって、真近な限界を悟り念のためそう謝罪すると、恋人はくすっと微笑んだ。「たくさん出してね……」というオマケつきだ。こんなことを言われては流石に及川もはいそうですかと終わらせるわけにはいかなくて、奥歯を噛み締めで白い腰を掴んだ。バレー仕込みの体力があってよかったと思いながら腰を打ち付ける。微かに感じる疲労はすぐに飛散していった。

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1507??