お題:トイレ
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「私は渚のことが好きです。貴方のことなら何でも知りたい。トイレで用を足す姿だって愛せます」
「Lはすぐにそうやって……私はLのそういう変態みたいなトコ、イヤです」
ぷい、と渚が首を振る。愛らしい。私が見てきた誰よりも。
渚は頭も性格も悪くなくむしろ、いい方の部類に入る。しかし恥ずかしがりが災いするのか私の愛情は過剰だと頬を膨らますことも少なくない。もちろん私は顔を赤らめ唇を尖らせる表情が好きなのであえてこういうことを言った。
実際見たいか見たくないかは別の話なのに怒ってみせる渚が可愛い。どちらかと言えば見ても構わないが、本当にトイレまでついていったら怒られるのだろう。
じっと見つめていると渚が横目に窺って、
「私は怒ってるんです!」
まるで心を読んだかのように目を吊り上げて私を叱った。
「あくまでも例えの話です。見たいとか見せてほしいと言っているわけでは」
「なっ、でも今愛せるって!」
「もちろん愛せます。でも見たいとは言っていません」
「それって見たくないってことですか!?」
「見せたいんですか?」
「え……っ」
恐らく深く考えていたわけではないのだろう。売り言葉に書い言葉、口調を荒げた渚は目を剥いたあと大きく首を振った。私は砂糖を入れたコーヒーを掻き混ぜてスプーンを口に含む。渚はたまに感情的になりおかしなことを言うから面白い。
「Lなんて……キライです!」
ぷい、と顔を背ける。本当に彼女は可愛い。
キライと口走りながらも私の唇を奪う渚はまさしく松田さんがツンデレと騒ぐ要因であり、砂糖入れすぎですよと言いながら頬を赤らめる姿は私の目を楽しませるのに十分なものだった。
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