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主人格と
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 啄むように軽く優しいキスならば何の罪悪感も抱かずに出来た。しかしマリクの膝に乗る麻人は様々な場面で、本当に高校生かと疑いたくなるほどに幼かった。良く言えば恋人同士のコミュニケーションが奥手であり、そして初心で、それ以上には中々進めずにいた。

「麻人……」

 名前を呼べば麻人は閉じていた目を薄く開いた。羞恥か緊張か僅かに潤んだ瞳が愛しくて、マリクの喉が小さく鳴る。
 初めて、というわけではないのだ。体を重ねたことは何度かあるし、マリクの心の闇が生み出した人格もまた――気に入らない事実ではあるが、自分の恋人と体を重ねているのだって知っている。ぷくりとした唇を舌で舐めると少年の瞳を黒く縁取る睫毛が震えて、やがておずおずと唇が開いた。

「好きだよ……」

 今日何度目かの告白を吹き込み口付ける。ぬるく湿ったそこに舌を絡めるとマリクの服を握る小さな手にぎゅっと力がこもった。自分のものとは違う人形のように小さな手の平が不安げに微かに揺れているのが視界の端に見える。ちゅぷ、ちゅ、とわざと音をたてて吸ううちに、濡れた唇からはかすれた吐息が零れ落ちた。どうやらキスは好きらしい麻人夢中になってそれを繰り返す間に、マリクは彼のシャツの下へ手を忍ばせる。温かい肌はしっとりと柔らかくて、早くこの体を押し倒したい衝動に駆られた。我慢だ。いつかのように失敗しておあずけを食らったら元も子もない。そう自分に言い聞かせ、理性を繋ぎ止めるために少年の髪をくしゃりと撫でた。麻人の話によればマリクの闇の人格は強引に組み敷くのが常のようなので、だからこそそれだけは避けたかった。
 腹へと回った腕が徐々に上へと移動していることに気付いた麻人が身をよじったが、それは再び口腔を犯すことで防いだ。伸ばされる舌を吸いながらシャツの中の小さな突起を指で弾くと、麻人は咄嗟に肩を強張らせた。

「ぁ、うぅ……」

「大丈夫……痛くしないから」

 不安か期待かあるいは両方か、麻人の手は更に力を込める。あまり服を引っ張られては生地が伸びてしまいそうだったが、マリクにとってもはやそんなことはどうでもよくなっていた。気にも留めず慎重な手付きで肌を弄った。

「あっ……ん、ん……」

 抑えた声がもどかしく、唇を合わせると水音に混じって震える吐息が漏れてきて、マリクは少年の下腹に手を伸ばす。短パンから伸びる足は白く滑らかで、普段何の色気も見出さないそれが今は、マリクの目に煽情的にすら映った。ベルトを外してパンツと下着をずらすと、しっかり反応を示している性器が頭を覗かせる。室内の緊張感で思わずごくりと喉が鳴った。

「ゃっ、マ、リ……!」

「可愛い……もうべとべとだよ。気持ち良かった?」

「っ、ゃだ……言わな、でぇ……」

 とろとろと透明な液体を溢す先端を指でなぞりながら囁くと彼は首を振る。赤らんだ顔で目を伏せ首に縋り付く様子は、可愛いという以外で表現出来る日本語をマリクは探せなかった。柔らかい髪の合間から垣間見える赤く染まった耳を歯で甘噛みすると、まるで抵抗の感じられない「いやだ」という甘い声が流れる。撫でていただけの手はもうべったりと濡れていて、このまま触り続けていたら射精してしまうことを容易に想像させた。

「ねぇ麻人。僕、入れたい……麻人の中で気持ち良くなりたいな」

「ふぅ、ぁ、ゃ……やだぁ……」

「イヤなの?」

「ん、ちがっ……ぃ、わな、で……っ」

「フフ、想像するだけで感じるんだよね」

「く、ぅん……じ、わる……!」

「ごめんごめん」

 力の入っていない細い腰を持ち上げ膝立ちにさせてそう囁く。滅多に見れない、下から覗いた麻人の顔は涙と唾液に汚れていた。快感と羞恥に塗れ自分を見下ろす瞳にゾクリと背が粟立って、ああやはり自分は彼のこの顔に弱いのだと再確認する。

「……解すよ。力、抜いていて」

 生唾を飲み下し出した声は酷くかすれていたが、そんなこといちいち気にしてなどいられない。それに緊張しているのはマリクも麻人も、恐らくお互い様である。先走りで滑る自分の指を性器の奥へと持っていき入口となる窄まりを撫でた。

「う、くぅ……っ、ふ、ぁあァッ」

 ぐちゅ、と音を鳴らして指が中へと消えていく。挿入したかのような切羽詰まった喘ぎに苦笑して、マリクは小さく深呼吸をする。まずは落ち着かなくてはならない。中は温かいというよりも熱いくらいで、飲み込まれた指を中で緩やかに動かすと、麻人の口からは啜り泣くような声がひっきりなしに溢れ続けた。マリク自身もそれなりに限界を迎えそうではあるが、それでも心の内で自らを慰め鼓舞しながら細く呼吸を繰り返した。

「痛くない……?」

「ん……は、ぁ……ぁ……」

 微かに首が横に振られて微笑みかける。唇の奥に見える舌がちろりと蠢いたのを見て更に指を動かした。いつか見付けた中の膨らんだ場所を押すと少年の細い腰ががくりと落ちて、マリクは咄嗟に腕を回し支えてやる。

「ぃぁあ、ぁ、ふぁ、ぁああ……!」

 懸命に姿勢を保とうとしているのだろうが、脱力した腕では縋り付くのが精一杯らしい。耳元で喘ぐ子供の体を支え直してから、マリクは中に沈める指を増やした。緩んだそこは慣れもあるのか簡単に2本の指を銜え込み、ややもするともう1本も飲み込む。痛い、という言葉がなかったのは幸いだ。

「麻人、入れるよ?」

 内壁を掻き回し聞けば麻人は何度も首を振る。見ると彼の性器は既に堪えきれなかったらしく、いつの間にやら、白く濁った液体をとぷとぷと吐き出していた。散々中を引っ掻いた指を抜き取ってから自身のベルトに手をかける。邪魔とすら思える着衣をやや乱暴に乱したあと、麻人の華奢な体を支え直して自らの性器の上にあてがった。

「あ、う、うぅ……」

「ん……」

 口を閉じた蕾を割り開き徐々に体を沈めていく。熱く柔らかい感触に持っていかれないよう息を吐き出しながら、それでも小さな体の中へと着実に収めていった。時間をかけて降ろされた麻人の体は汗に湿り、吐き出す荒い息からも熱が伝わってくる。我慢しきれずに細い体をマリクが揺すると、彼は体を震わせながらかすれた声を上げた。性器から溢れた白濁がマリクの腹にかかる。それすらも愛しくて少年の体をグイと持ち上げる。そのまま再び体を降ろしてやると、意味をなさない言葉とともに、ぐちゅりと精液が吐き出された。

「ぁああ、くぅッ、ァ、あぁ……!」

 ぬるりとした内壁にきつく締め付けられて一気に追い立てられる気分だった。粘膜を強く擦ると目の前の体は震えながら涙混じりに喘ぎ、その度に締め付けは強くなる。下腹で鳴り続ける水音はマリクの耳にも届いてきて、それがますます彼の脳を痺れさせ、それからは何が何だか分からぬまま、彼は少年を攻め立てた。ベッドに押し倒して首に吸い付き、締め付けに抗うように性器を抜いては深く犯す。体液に塗れ痙攣する麻人の中に何度目かの愛欲を叩きつけたとき、恋人の意識はほとんど飛んでしまっていた。何度果てたかなど分からないほどの量の白濁を纏った体を見下ろして、今更ながらやりすぎたかな、とマリクは小さく苦笑する。麻人、と名前を呼べば恋人の目蓋が僅かばかり震えた。荒い呼吸を繰り返し目を伏せる麻人に申し訳ないと思いつつ、それでもやはり満足感に満たされる。可愛い恋人を前に性欲を抑えるのは簡単なことではないが、次は気を付けて、ほどほどの所で止めておこうと考えるのだった。

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