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平和な日
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 オレ様はゲームが好きなわけだが、しかし決して最初から最後まで全てシナリオ通りに、ガチガチの戦術で、というのが好きなわけではない。ある程度運要素が組み込まれたものを好むし、それこそダイスやカードゲームが好みの代表たるものだ。

「バクラ、バクラ! 俺にもオカルトコンボ教えて!」

 ただ俺は、人に教えるのがあまり得意ではない……というか、ただひたすらにめんどくせえ。それでも自分で組んだらしいオカルトがコンセプトの、闇属性で固めたデッキを持って家まで押し掛けたこいつを追い払うほど非情でもないため、しょうがねえなと悪態をついて麻人を部屋に招き入れた。

「ったく、いくつか教えてやるから、済んだら帰れ」

「はーい!」

 元気よく挨拶して早速勝手に椅子に座る辺り流石宿主の友人である。カードケースからオレ様と宿主様のデッキを取りだしテーブルの上に広げると、麻人は身を乗り出した。楽しい個人レッスンとやらの始まりだった。
 が、しかし。その10分後、既に飽きたらしい麻人は椅子に座って足をバタバタさせはじめている。こんなに早く飽きるとは思ってもみなかったオレ様は痛む頭を片手で押さえながらため息をつく。一体こいつは何をしに来たのか。

「バクラぁ、もういいよぉ」

「てめぇが教えろって言ったんだろうが!」

 頭に来たので叫ぶと麻人はぷくっと頬を膨らませテーブルの上のオレ様の手を握る。機嫌を取ろうとしているのだろうが甘すぎる、もっと積極的にキスだの何だのをしてもらわねぇと。睨むように麻人を見据えると、少年はにこにこと笑って更に手の力を込めた。感触を確かめるようにぎゅうぎゅうと指を締め付けて、犬か何かのようにテーブルへと頭を乗せる。コンボテクニックの指導なんてあったもんじゃない。
 オレ様はわざとらしく盛大にため息をついてその小さな手を引き寄せた。宿主と変わらぬ白い肌はこいつをより貧弱に見せるばかりでまるで色気など感じさせない。それなのにいちいち細い首筋や鎖骨、シャツの隙間から僅かに見える薄っぺらい胸に目がいくオレ様はもしかしたら病気ではなかろうか。子供の手を握りながらひたすら悶々とする自分自身に呆れながらも軽い体を引っ張って膝の上にそれを乗せる。麻人は慌てたように「どうしたの」とか「ズボンずれちゃう」とか喚いていたが、抱き抱えてやるとまたすぐに大人しくなった。

「バクラ、怒った?」

「あ?」

「ごめんね? ねぇねぇ、」

「うっせえ」

「へへ。バクラ大好き」

 誰も許した覚えはないが麻人の耳には怒ってないよとでも変換されたのか。上機嫌にオレ様の頬に拙いキスを繰り返すばかりの少年の頭を撫でて、結局こいつの思い通りにしてしまっていると気付いてため息をつく。

「ったく、てめぇは……ぜってー泣かしてやるからな」

 テーブルの上のカードを端に寄せて麻人の体をそこに押し倒すと彼はくすくすと笑い、オレ様の首へ腕を回しながら、甘えた声でオレ様の名前を呼んだ。

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