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闇遊戯と
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 じいちゃんが持ってきてくれたお菓子を食べながら、俺と麻人はM&Wに使用するデッキを編集していた。予定では城之内くんや本田くんたちも来るはずだったのだがどうも都合が合わなくて、日差しも麗らかな土曜日、男2人で部屋にこもりっきりである。相棒の母さんがいたならば「外に出て遊びなさい」「お日様を浴びなさい」などとお小言を言われてしまうのだが、幸い母親は留守にしていた。カードゲームでもテレビゲームでもやり放題! そう相棒が喜んでいたのは昨日の夜の出来事だ。
 隣に座ってデッキを握り締め、小粒のチョコレート菓子を舌で転がしながら悩む麻人の横顔を見ながらそんなことを考えていると、不意に麻人が顔を上げた。

「なぁなぁ遊戯、これって入れた方がいいかなぁ?」

「ん? どれだ?」

 横に座る麻人の手元を覗き込もうと体を傾けると彼もまた体を寄せてきて、頬に柔らかい髪が当たった。見やすいようにと気を遣ってくれているようだが、いくら何でも距離が近い。俺が意識しすぎているせいもあるだろうが、麻人に好意を抱く俺にとってはやや毒だ。意識せぬよう彼の持つカードへ強引に目を落とし「へえ、死者蘇生のカードか」よく見知ったカードにそう呟く。
 毒だ何だと言いつつもこれはこれで儲けものだと、俺は更に麻人の方へ顔を寄せた。不自然なほど近寄ったところで気付きもしない麻人は手元のデッキと右手で持つ魔法カードを見つめて真剣にテキストを読んでいる。麻人の体を抱き込むように肩に腕を回して、彼のデッキと照らし合わせるように自分のデッキを広げると、彼の目がそちらへ向いた。過剰に密着してることに疑問すら抱かず興味津々の様子で、俺のデッキに積まれた死者蘇生のカードに気付くと、麻人の顔がパッと明るくなる。

「遊戯も採用してるんだ!」

「ああ、これは外せないカードの1つだ。麻人のデッキは罠と魔法カードが主体の特殊なデッキだからな……死者蘇生なら相手の墓地から特殊召喚を狙えるし、戦略が増えると思う」

「じゃあ、ピンチのときのラッキーカードになるかな?」

 どうしようかなーと独りごち、彼は自分のデッキと魔法カードを見比べている。全部で40枚のデッキに扱えないカードを混ぜるわけにはいかないため悩んでいるのかもしれない。頭を悩ませながらもちらりと俺を見上げる姿が可愛くて、俺は彼の肩にそっと腕を回そうとした。が、それが肩に触れる前に、心の中で俺に語り掛ける相棒の声に邪魔されたため、同じくそっと腕を下ろした。

「遊戯?」

「あ、ああ……じゃあ、試しに俺のデッキと勝負するか?」

「マジで!? するする!」

 パッと明るい表情になった麻人が体を離して、俺もテーブルの上の菓子やジュースを下ろして準備をする。デュエルディスクを使えばソリッドビジョンによる臨場感溢れるデュエルが楽しめるが、こうしてプレイマットの上でカードを並べるだけのゲームもたまには悪くない。先ほどまでの甘い微睡みは消え失せた麻人も俺もやはりデュエリストで、お互いのデッキをシャッフルした後、彼はにっと笑った。

「よぉし遊戯、デュエルだ!!」

「受けて立つぜ!!」

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