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十代×同室(弘樹)
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 弘樹は凄く勉強熱心だ。いや、きっと勉強以外だって熱心だろう。いつも俺の宿題の面倒を見てくれたあと、本人は寝るまでの1時間更に勉強する。今も弘樹は椅子に座って、明日の授業の予習をしていた。頭の悪い俺は邪魔にならないようにベッドに潜ってデッキの編成。明日は実習授業もあるから楽しみだ。
 机の方からはシャーペンを走らせる音と教科書をめくる音、あとたまにお菓子を食べるパリパリなんて音が聞こえていた。
 弘樹が勉強するこの1時間は本当につまらない。喋りたいけど喋りかけると邪魔になるし、でも弘樹がいるのに1人でカードと睨めっこも退屈だ。いつも俺の宿題に付き合わせて時間を割かせてるんだから今日こそは黙ってようと決意して50分。普段ならもっと早くに喋りかけてしまう俺にしては良く持った方だ。そろそろ落ち着かなくなって声をかけようとしたとき、不意に弘樹がこっちを振り返った。

「どうかした? 十代、いつもなら話しかけてくるのに」

 にこっと笑う弘樹には、俺の考えなんてお見通しみたいだった。パタンと教科書とノートを閉じて鞄にしまってるから、きっと予習は終わったんだろう。

「へへ、待ってようと思ってさ」

「気を遣わなくていいのに。でもありがとう」

 ベッドに近付き「じゃあおやすみ」なんて言ってベッドのハシゴを掴む弘樹に、俺は慌てて彼のシャツを引っ張った。大きめな目がちょっと見開いて俺を見る。

「なぁ弘樹、一緒に寝ようぜ? 俺、邪魔しなかっただろ? だからさ」

 本当は弘樹に手間をかけさせる頭の悪い俺がダメなんだろうけどそれは棚に上げる。俺を見下ろすきょとんとした顔が徐々に赤くなって、なんだかこっちまで恥ずかしくなってくる。 黙ったまま目を泳がせた弘樹が、少しすると枕を引きずり落として俺のベッドに潜り込んだ。

「弘樹、狭いか?」

「ううん、平気」

 男子高校生2人が横になると流石にベッドは狭苦しい。でも細身な弘樹は微笑んで毛布を引き上げた。髪から微かに甘い匂いが漂って妙に緊張してくる。

「おやすみ、十代。大好きだよ」

「お、おう。俺も」

 パチリと明かりの消えた闇の中、俺はきつく目をつむる。自分の心臓の音がうるさくて眠れそうにない。クスッと笑い声が聞こえてそっちに意識を向けたら、ぽんぽんと頭を撫でられた。優しい香り、温かい体温、全部が俺を包んでくれる。胸一杯に弘樹の香りを吸い込んだら気分が落ち着いて、そして知らないうちに俺は眠りに落ちていた。
 その日の夢の内容は覚えてない。
 でも、とても楽しかった気がした。

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