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鬼柳×ショタ(十夜)
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「京介ってさ、綺麗だよね!」

 意味が分からんとは思ったが俺はあえて突っ込まない。十夜が時折変なことを言うのはチームのヤツならみんな知っていたし、俺が綺麗ってのも今更な話だ。遊星がその辺で拾ってきたどう見てもガラクタにしか見えないジャンクとやらをバラしている最中だった俺は、半ば無理矢理持たされたドライバーを操る手を止め十夜を見た。

「おー、まあな」

 返事するのもかったるい。っつーかこれ何で俺がネジ外さなけりゃならないんだ。こんな雑用ジャックかクロウかそれこそ十夜にでもやらせればいい。つまり俺以外。一気にやる気が失せた俺はうあーと声を出しながらドライバーとジャンクを放り投げた。ガシャンと音が鳴ったせいで気付いた遊星に睨まれたが、俺がヤツを見つめるとどうも機嫌が悪いことを悟ったらしい遊星は何も言わずに自分の作業に戻った。相変わらずのメカニックだ。

「……で、なんだぁ? 膝には乗せてやんねーぞ」

 少し動くだけでミシミシ音を鳴らすボロいソファに背中を預けてそう十夜に告げる。こいつは昔から甘えただ。何かあると、いやなくても必ず誰かにひっつきたがる。遊星のロリコンとかジャックのロリコンとかクロウのロリコンとかはそれが最高に可愛いらしいが俺はまっぴらごめんだ。可愛くないとは言わないが、それも続けば邪魔でしかない。……っていうか、このチーム、ロリコンばっかじゃねーか。
 どうも図星だったらしい十夜はうっと呻いた。繕って首を左右に振っちゃいるが、涙目までは隠せまい。大体なんで俺なんだ。確かに俺は十夜を愛してやまないが、膝の上に乗られるのは邪魔だ。俺のデカいバズーカが押し潰されて痛いしな。
 俺が自分の下腹部に目を落としていると目の前の壁に体を預けていたクロウが十夜の腕を取った。おいなんだその変態を見るような目は。そんな目で俺を見るなっての。
 クロウの服の裾を掴んだ十夜がじっと俺を見つめる。いくら泣きそうな顔をしたって俺は膝の上には乗せてやらないと決めている。

「なんだよ鬼柳、いいじゃねぇか膝くらい乗せてやれば」

「断る。俺のバズーカが火を噴くからな」

「変態じゃねぇか……」

 ん、言葉を間違えた気がしないでもないな。しょうもない下ネタに遊星とジャックがげっそりした目を向けたが、まあ肝心の十夜には意味が通じていないので構わないだろう。それにそもそも甘えたいのであれば俺ではなく、十夜をベタベタに甘やかしたいクロウか遊星辺りに行けばいいのだ。クロウなら喜んで膝に座らせるだろうし、遊星なんかはそのまま抱き締めて離さないだろう。……やっぱ遊星のとこはダメだ、なんかムカつくしな。

「京介ぇ……」

「ダーメーだ」

「ケチ」

「うるせー」

「十夜、鬼柳はバズーカが暴発するから危険だ。こっちに来るといい」

「遊星貴様俺の十夜に何をするつもりだ」

「それは妄想だジャック、俺のバズーカで目を覚まさせてやろうか?」

「やめろよ鬼柳、煽んな煽んな」

 俺もジャックも遊星もクロウもギンギンに睨み合った。比較的仲がいいと言えるであろう俺たちは殴り合いなんて滅多にしないが、それでも男が4人もいればひょんなことでも簡単に喧嘩に発展するものだ。久し振りだし一番近いところにいるクロウにでも殴り掛かってやろうと腰を浮かした瞬間、

「ぐあっ!?」

 今までクロウの足元にいた十夜が俺の体へダイレクトアタックをかましてきやがった。いくら身長体格に差があっても加減なしのボディアタックは効く。しかも鳩尾に入って苦しい。

「十夜、てめ……っ」

「きょーすけー」

 ちょっとばかしひっぱたいてやろうかと思ったが、俺の前で手を伸ばす十夜の言葉に手が止まった。どうせそれも膝の上に乗るための策だろうが……ぎゅっと目をつぶって待つ姿が可愛い。待て待て俺、これでは他のロリコンたちと変わらないだろうがふざけるなキスなんて……いやキスは挨拶だし俺の十夜への愛を伝えるには一番いい方法だ、これにロリコンは関係ない。関係ないはず。
 何だか殴り合う気も失せた俺ははぁとため息をついて再びどっかりとソファに体重を預けた。クロウもジャックも遊星も口論すら面倒になったのか、各々好き勝手に作業を再開しはじめる。ピリッとした空気は十夜によって見事にほだされ、俺たちは普段通りの仲良しこよしに元通りだ。

「京介、だめ?」

 ちらりと片目を薄く開いて俺を窺う十夜はまたため息をつく。全くこいつは自由で頭が弱くて可愛すぎる。

「……しょうがねぇ、今日だけだぜ?」

 ぱぁっと明るくなる表情は相変わらず無邪気だ。俺は両手を上げて抱き付いてきた軽い体を持ち上げて、膝の上に乗せてやりながらキスをする。
 チームサティスファクションのリーダーも、結局この子供には甘いのだった。

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