He became a woman.32.
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消太くんは忘年会で帰りが遅くなるらしく、先に寝ているようにとメールでの連絡があった。待っていようかとも思ったがちょっぴり眠かったのもあり僕はお言葉に甘えてベッドへ潜り就寝したのだけれど、深夜を少し回った頃、不意にマットが沈む気配に起こされた。瞬きを繰り返しながら薄く目を開き、ぼやける視界のまま辺りを見回すと、ベッドに手をついた消太くんが僕の顔を覗き込んでいることに気付く。「んー……消太くん……おかえりぃ……」絞り出した僕の声は思った以上に眠たそうだ。消太くんの口角が少しだけ持ち上がる。
「ただいま。起こしたか?」
僕が目を開いたのを確認した恋人がベッドの上にあがり、頭を枕へ乗せた。掛け布団を持ち上げ招き入れると体温と同じ温度になった場所にヒヤリとした空気が流れ込み、温まっていた僕の体が少しばかり冷える。本当は眠っていたけど、僕は首を横に振った。頬に伸ばされた彼の手はいつもと同じでぽかぽかに温かくて、僕はまた眠くなってしまう。
「寝るなよ。キスがまだだ」
目蓋がくっつく直前、甘えん坊の消太くんが囁いた。てっきりこのまま彼も眠るのかと思ったがどうやら違うみたいだ。冷たくあしらうのも可哀想なので眠気を堪えつつ体勢を横向きへ変えると、僕は消太くんに腕を伸ばす。その手は恋人の手に捕らえられ、ぺたりと消太くんの頬の上へと乗せられた。普段は消太くんの方が体温が高いはずなのに、今は寝起きの僕の方が高いらしく、消太くんの手がさっきよりほんの少しだけ冷たく感じる。ゴツゴツした手をやんわり握ると彼が一度手を離し、指を絡めて恋人繋ぎをしてくれる。僕の唇にはキスが落とされて、その先をねだるような彼の舌が、薄い皮膚をくすぐった。
「ソーガ……エッチしよう」
失礼な言い方かもしれないが、小汚い感じの消太くんの口からエッチという単語が出るのは可愛くて、ちょっとだけ面白い。僕が言うのを真似してくれているんだろうなあと思うとそれは更に愛しさを増した。空いている手を布団から出し消太くんのくしゃくしゃの髪を撫でてみる。恐らく酔っているはずの恋人はしかし酔いが顔に出ないタイプなので、知らなければ素面だと思ってしまいそうだ。
「んん……僕ねむいよ……」
「寝てていいよ。触りたい」
「さわられたら、眠れないよ……」
「じゃあ寝なくていい」
「もー……しょーたくん、めちゃくちゃだあ……明日じゃダメ……?」
「抱きたい。明日まで待てねえ」
ソーガ、と拒否させる気のない低い声が囁く。僕はこの声に弱いのだ。ねだられると何でもしてあげたくなってしまう。口ごもる僕を見つめる恋人がくつりと笑って僕の腹を優しく撫でた。移動した手の平が胸元をさすり、時折気まぐれに乳首を引っかかれると、体がぴくりと反応してしまう。「眠くても気持ちいいか?」問いかける恋人は意地悪だ。僕は素直に小さく頷いた。
シャツの上から消太くんの指が乳首をこねる。先端に親指が押し当てられて、僕の心臓の鼓動に合わせた緩やかな速度でそこを丸く撫でる。もどかしいけどじんわりした気持ちよさに、思わず「ん……」なんて、いかにも気持ちよさそうな声が漏れてしまう。ほんのちょっとだけ、指先で乳首を可愛がられただけなのに感じてしまう自分のいやらしさが恥ずかしくてたまらない。でも僕を凝視する消太くんの表情はとても楽しそうだったので、まあいいのかなあと、思考が鈍ってしまった。
「硬くなってきた」
教えてくれなくてもいいのに、僕をより辱めるべく消太くんが告げてくる。興奮と快感に立ち上がった乳首は、指で挟んですり潰せばコリコリと芯を持った感触を伝えるはずだ。AVの女の子がされるように乳首をいじめてほしくなってしまう。わかってるくせに意地悪な消太くんはそうはせず、今度は短く切りそろえた爪の先を押し当てて、かゆいところを掻くみたいに先端を引っかいた。すりすり、かりかり、シャツの上からでもわかるほど膨らんだ乳首が、布の下で上下左右に嬲られる。きもちいい。男だというのに、消太くんが毎日のように乳首を可愛がってくれるせいで、僕の乳首は友人たちに比べて随分と大きくなってしまった。恥ずかしいので人前で服は脱げないけれど、消太くんにたっぷり愛された証拠なので嬉しくもあった。
より多くの刺激をほしがって大きく成長した僕のいやらしい乳首を、消太くんの指が焦らすように押しつぶす。「んっあ……」呼吸する度に上下する胸の動きに擦られて、乳首がジンとしびれていく。そのしびれがじわりと下半身へ流れ込むのがわかった。消太くんの舌が口腔へ滑り込んで僕の舌をちゅうっと吸う。眠気はすっかり覚めてしまった。
「しょぉたくん……」
もっとして。乳首をつまんで、コリコリに硬くなったそれをこすってほしい。消太くんにすり寄ると、彼は僕の腰を掴んで体をグイッと抱き寄せた。熱を持ち膨らむ僕の下腹に消太くんが股間を押しつける。彼のチンコも熱を持ち、硬く張り詰めているのが手に取るようにわかった。
「酒入ってんのにこんなだよ」
漏らした笑いは自嘲が混じっているみたいだった。普通は飲酒すると立ちにくくなるはずなのだけれど、僕の可愛い消太くんは、僕の体でしっかり興奮してくれているみたいで安心する。嬉しくなって彼の唇に吸い付くと、消太くんはニヤけながら「やっとその気になったか」と言った。
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170108
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