He became a woman.39.
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 いつの頃からセックスが得意になったのかは覚えてない。最初は怖くて、次からは苦しくて、片手で数えるには足りなくなった頃からは苦しいだけでなく幸せになった。回数をこなすと少しずつ他に目がいくようになり、多分、消太くんの反応を窺うくらいの余裕が心に生まれたのだと思う。大好きな人が僕に欲情して懸命に求めてくれるのが嬉しくてたまらなかった。気持ちよさそうな顔で僕を抱いてくれるのが幸せで、僕も一緒に気持ちよくなりたくて、そのうちに苦しいのがなくなった。好きこそものの上手なれ、という言葉がある通り、僕は消太くんも消太くんとのセックスも好きで、だからこそ今はそれを得意だと言えるくらいには上達したのかもしれない。もっとも、得意という評価はあくまで自己評価なので、実際に上手かどうかはわからないけれど。
 僕の腰を掴んだ消太くんがゆっくりと体を押し付ける。入り口にあてがわれた熱の塊が、たっぷり時間をかけてほぐされた場所を割り開き進む。痛みはなく、ほんの少しだけ苦しいけれど、この苦しさは快感に消されることを知っているからつらくない。体重をかけて中に潜り込むそれの先っぽが、ちゅぽんと中に収まった。ぞく、と体が震える。消太くんが開発してくれた体は快感をたくさん拾うようになったおかげで、本来排泄に使う場所も、彼に触られると気持ちよくなってしまう。張り出した先端がほんのちょっと中に進んで、もう一度入り口まで戻ると、入り口の縁にそこが引っかかって足がブルブルと震えてしまった。中からずるるっと引き抜かれる瞬間が気持ちいい。入り口を引っかけたまま抜かれたかと思うと、また先端が中へ戻ってくる。ゾクッと震えたさっきの感覚がより強くなり、思わず腰が揺れて、ベッドがギシッと音を立てた。消太くんが微かに笑う気配がする。

「ソーガ、これ好きか」

「んっすき……きもちいぃ……

 我を忘れて個性を発動しないよう、指を伸ばしてシーツを撫でる。僕の言葉を聞いた消太くんが唇の端を持ち上げた。ちょっぴりダーティで、色っぽくてカッコいい、いつもの笑い方だ。こんなにカッコいい消太くんが僕の体に興奮してくれてるなんて信じられないけれど、僕の中に潜るチンコの硬さがそれを実証してくれていて、だからこそ僕はセックスが好きだった。もっとほしい。奥まで押し込んで、消太くんの好きに動いてほしい。たくさん気持ちよくなって、僕の中にその証をいっぱい注いでほしい。僕は両手で自分の膝の裏を掴んで持ち上げた。グッと尻を突き出す体勢になり、消太くんの手が腰から離れる。その手は僕の足を撫でて、上を向いた両方の尻たぶをさすった。筋肉のついた手はゴツゴツしてて温かくて、撫でられると気持ちよくて尻に力が入ってしまう。キュッと締め付けると消太くんの眉が一瞬寄った。心臓がドキドキする。消太くん、カッコいい。すき。

「……お尻突き出して、奥にほしいっておねだりか?」

「あ……うぅ……

「ソーガ。黙ってちゃ分からん」

 意地悪な恋人はわかってるのにそう聞いた。

「ほしい……なか、おくまで、いれて……

 先っぽだけでは物足りなくて、僕はそう返した。腰をくねらせると中に潜る先端が、お腹側の気持ちいいところに弱く押し当てられる。だけど僕の力ではそれが精一杯で、それ以上の快感は得ることが出来ないのだ。消太くんにしてもらわないと、きちんと気持ちよくなることが出来ない。だから消太くんに気持ちいいところをいっぱい擦ってほしくて、僕は一生懸命彼を誘惑した。

「ね、ショータくん、いれて……ぐりぐりして……

「お尻の中を?」

「うんお尻のなか、エッチなことしてほしい……

「いいのか、エッチなことして。お前、イッちゃうかもしれないよ」

「あっイきたい……しょーたくん、イかせてぇ……ね、イッてもいいでしょ……?」

「……いいよ。爪牙が何回もイけるように、お尻の中にエッチなことしてやるよ」

「やったああっしょーたくん、すき

「好き?」

「すきだいすき消太くんと、エッチするのもすきっ

「そりゃよかった」

 消太くんがペロリと唇を舐めた。今から僕を貪って、犯すという合図だ。期待に震える僕の中に収まっていたものが奥を目指して進みはじめて、気持ちいいところをゴリゴリと容赦なく擦った。ぞくぞくぞく、腰から背中までが痺れていく。きもちいい。「うーっあっあぁぁっ」思わずすすり泣きみたいな声が出てしまった。柔らかくなった一番深い場所に消太くんの硬いものが押し付けられる。目の前がチカチカした。きもちいい。きもちいい。もっとして。そこ、グリグリして。気持ちよくて言葉が出ないのに、僕の弱点を知り尽くした消太くんがそこをいじめるために腰を押しつけて、ぐりぐり抉ってくれた。それだめ。きもちいいから、それはダメなのに。歯の根が合わなくてカチカチ鳴ってしまう。お尻のなか、変になる。消太くん専用の、エッチな性器になってしまう。消太くんが腰を引き離すと、弱いところをいじめるチンコがずるずるずるっと引き抜かれた。「んんんっうぅ……っ」排便のときみたいな、危ないきもちよさだと思った。この気持ちよさに慣れて、排泄で感じてしまうようになったら怖いと思うのに、そうなってもいいなんて思ってしまう変態な僕もいる。抜かれた消太くんがまた中へ戻ってくる。ぬぷぷ、と押し込まれて、勢いのままに弱いところをずちゅっと押しつぶされて、僕の視界が真っ白になった。全身がゾワゾワする。足に力が入って喉がのけぞる。イく。イッちゃう。

「ソーガ、気持ちいいか? イきそう?」

「きっ……、ちいぃ……っだめぇ……イ……っ

「ダメ? ソーガの中、グジュグジュいってるぞ」

「やっ……だ、めぇ……っいま、いじわる……やらぁ……っ

「嘘が下手だよ、お前は。意地悪されんの、嬉しいだろ」

「らえ……っんっだめぇ……うれひぃ、から……やめな、れぇ……っ

「……やめねえよ。ほら、はよイけ」

「んっうぅ……はぁ……っあー……っイッ……ちゃ……あっあっああっ

 ぶるぶるぶる、持った両足が大きく痙攣した。きもちいい。きもちいいのが、おしりから頭までギューッとしめつけるみたいだった。消太くんのチンコが、僕のエッチで、きもちいいところに、チュッチュッと、何度もキスをしてくれた。きもちいい。しあわせ。消太くんの唇が、僕のしたべらを吸ってくれる。びゅる、と精子をおもらししてしまった。きもちいいのがチンコの先っぽからトロトロと溢れて、体の中から薄れていく。白かった視界に色が戻って、僕ははあはあと荒い呼吸を繰り返しながら、体から力を抜いた。ぴくん、ぴくんと腰が跳ねる僕を見下ろす恋人が「ソーガは可愛いな……」と、熱っぽく囁く。僕の尻に収まる消太くんのそれはパンパンに膨らんでいて、その中にある精子をたくさん出してほしくて、僕は大好きな恋人の腰に足を絡め、続きをねだった。

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170129