あ・・・ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「誠意を示せと言ったら目の前の優男が暴力的に誠意を示してきた」

な・・・ 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった・・・

頭がどうにかなりそうだった・・・ 四月バカだとかドッキリ成功だとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ・・・






目の前で無惨なスクラップと化した携帯を前に、私は愕然とした。平然と「これで分かってくれると嬉しいのだけれど」とにこやかにかしづくイケメンが怖い。





いきなり告白されたのが数週間前、容疑者は学校1のプレイボーイ郭嘉さん。成る程罰ゲームか。大変だなぁと納得していた被害者が私だ。地味な顔に地味な地毛。メイクは出来ない髪のセットなんて霧吹きと櫛のみと言う有り様の私だ。イケメンに告白されて舞い上がってる所なんざ見られたら笑いの的だぞと「言う相手は選んだ方がいいよー」とおどければ本気なんだけどなぁとぼやかれた。はっはーん落とすまでが罰ゲームか。分かってる。分かってますよぉ郭嘉さん! 心配せずともこのなまえ、ボケ役は慣れてますぅ!



「おーけーおーけー何処まで? ゴミ捨てかなー資料纏めかなー?」




告白ネタの王道ボケをかまして様子を見る。この方にこやかだからわっかんないんだよねー





なぁんてかわして数週間、一日一回必ず告白しに来る郭嘉さん。罰ゲームじゃないかなと思い始め、ああ、何日で落とせるかゲームみたいな! と思い付いてならばスルーか! とイケメン冷遇キャンペーン開催しても諦めない執拗っぷり。いい加減にしてほしかったのもあって「いやぁ郭嘉さんお盛んじゃん? 私結構一途だしーぃ浮気とかしょうがないねで許せない昼ドラ系女だよー? どろどろだよー? 合わない向かない無理無理無理無理、」と笑い半分で言い放ってみた。ら。



「じゃあ私が一途になれば君は私を好きになってくれると言うわけか」



そう言っておもむろに携帯をするりと胸ポケットから取り出し地面に落として踏みつけた。数週間前のさらに前、砂を吐くような甘い言葉を垂れ流していたあの携帯だ。多くの女性のメルアドケー番が乱立し、郭嘉さんのライフラインらしいあの携帯だ。それが今、ローファーで踏まれ、傘で貫かれ、それでも「もう少し壊した方がいいかな」と呟かれる始末だ。携帯会社の皆さんごめんなさいのレベルだ。



「え、ああ、あ・・・」

「ああ安心してほしい。こうなると思って全ての女性にもう終わりだと言って回ったから、新しい携帯に変えてもかかってくることはないと思うよ」



言うなればけじめと言うものかな? とあっさり話す郭嘉さん。さて、と私をじっと見つめて歩を進める郭嘉さん。



「浮気とかしょうがないねで許せない? 君にそのくらい愛されたくて言葉を紡いでいるのだからむしろ好都合だよ」



壁際に追いやられ、状況整理に勤しむ頭にブレーキをかけるように手を両腕の直ぐ横に付く。逃げ場はない。逆光で見えにくい郭嘉さんの口角には、何時ものような飄々とした笑みはなかった。



「もう一度、いや、何度でも言わせてはくれないかな・・・君を愛している。君の明るく振る舞う隙間に見せる表情が好きだ。自分が傷付かないように他人に傷をつけてでも逃げ果せようするその狡い所が愛しくてやまない。逃げ切れずに傷付いて痛みを堪えようとする健気な姿を見た時は何度この腕で掻き抱いてしまおうかと思案したか・・・ねぇ、なまえ、」



ひくり、喉が震えた。



盲目的に愛してよ



溺れたいんだ。愛しい貴女と




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眠気が来なくてイライラしてやった。見直しも点検もしてない。いつか消します