私には、好きな人がいる。
その人は戦に滅法強くて、紳士的で格好良くて、兎にも角にも私が全人生を捧げると誓っている人だ。
「・・・・・・・」
だけ、れ、ども・・・・
如何せん、こう、私の思いに気づいていないというか、楽進殿にまで応援されるくらいなのに。恋する乙女―みたいな雰囲気は出まくっているだろうに、それでも一切振り返る気配がないのだ。
「どうしたなまえ」
「・・・いえ、少々考え事を」
ああいかんいかん、今は仕事中、どうにか、何とか、平然としていなければ。仕事を怠ける部下なんて悪印象しか与えない。ここは何としても出来る部下にならねば。
にしても、本当に格好いいな張遼様。こう、人間が好印象として挙げるべきものをすべて持っている気がする。強くて、真面目で、格好良くて、やさしくて・・・・
「・・・・・・・」
いかんいかんいかんいかん!!! しーごーと!! こっそりため息をついて筆を持てば、今日の午前の鍛錬で付いた痣がずきりと痛んだ。
棍でしこたま打たれたのだ。女ってこういう時矢鱈と的にされるから不便だ。鍛錬のまとめ役ですら「真剣にやっておりますなぁ(ゲス顔)」みたいな態度だったからもうまとめてグルだったんだろう。もう、本当に運が悪、
「なまえ」
「あ、はい、何でしょうか」
「腕を見せよ」
「へ、え、ああぁ、大丈夫ですよ、このくら、い゛ぃ!!?」
手をゆっくりと強くひかれて椅子が倒れる。幸いにと言うか幸運なことに執務室には私と張遼様しかいなかったから煩いと罵倒を受けることはない。
「色が酷いな」
「あ、え、はい・・・、ちょっと、ヘマしちゃって」
「嘘をつかずともよい、女子が鍛錬に出ればどのようなことになるかくらい察しはつく」
「・・・う、でも、打たせた手緩さは私の責です、し・・・」
悲しそうな、眉を下げた表情をする張遼様の顔が見えて止まる。かさついて、籠手に包まれていなくても固い、暖かな手が痣を撫でる。「痛くないか」「、いいえ」「左様か」
そこの血管だけが早く動いているような、そんな感覚に胸がいたくなる。ばくばくと心臓が煩い。ああもうこの人は、どれだけ私の心臓壊しゃ気が済むんだ。
「・・・・なまえ」
「・・・は、い」
「顔が赤いようだが、熱でもあるのか?」
「へ?」
コツンと合わせられるデコ。近くにあるのは張遼様の閉じられた目と、微かな吐息・・・・・・え、は!?
「ちちちち張遼様、え、なん・・・っ」
「熱は、ないようだが、そなたも働きづめであろう、明日は休むといい」
「・・・は、い・・・承知、いたしました・・・・」
ここからが勝負
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きゃー山田マジ少女漫画のヒロイン!!
あこがれの人(呂布)がいて性格完璧(史実公認)で転校イベがあって(おいでませ曹魏他)なんか苛めっぽいのにあうけど最後は友情パワーで勝つ(合肥)しその上フリルで他校(蜀)に友達(関羽)がいるってもう、もう・・・っ