あのまま、泡みたいになってしまいたかったなんて言ったら、この人はどんな反応するかな。


スッゴイ高そうな、柔らかくて温かい布のコートに包まれて、寒さでカタカタ震える私をお姫様みたいに抱え上げて歩いてるセンセイの心臓の音が間近で聞こえる。ドロドロでべったでたの私なんて放っておいてもよかったのに。
昔、買われて入ったことのある大きいマンションに入ったセンセイは、これまた広いバスルームに私を突っ込んだ。




「終わったら・・・これに着替えよ」



置かれたのはセンセーのワイシャツ、こんな汚い手で触るのもためらって、勢いマックスのシャワーを頭から被った。鬱血痕が、縄の跡が、体を滑るドロドロの液体が、全部全部見慣れてたはずなのに、全部気持ち悪い。
センセーの匂いのするここでいっそ、全部の跡を消して泡になれたら、きっと今より綺麗な私は、ここにい続けられるのかな



「あほらし」



泡になったところで汚いことに話変わりないのに、ソープの中に女物を発見して使わせてもらう。お嫁さんのかな。娘さんのかな。私じゃない遊び相手のかな・・・・それは、やだなぁ





いい匂いのするそれで洗い終わって、泡を流して、脱衣所に足を置く。置かれたバスタオルも、袖を通したワイシャツも、全部センセーの匂いがして、散々遊んだあとなのに、体の奥が疼いて痛い。殴られた後の痛みが分からなくなるくらい、ジンジンして、ああもう、やっぱり、センセー好きだなぁ、なんて





「上がったか」



低い、声。怖いな、怒ってるかな、ここまで面倒見てやったんだあとは好きにしろみたいな、そんな感じかな、




「いろいろ、ありがと・・・・センセ」




何とか声を振り絞って、無表情のセンセーに向かって微笑んでみる。もう、近づくの止めるから、最後には、綺麗に笑えたらっておもった、のに、


ぼろぼろみっともなく流れる涙が、ピカピカのフローリングに落ちた。




「・・・・なまえ」

「ふ、ぇ・・・んんっ」



塞がれた唇、前にされたのよりも数倍甘く感じるそれに、ドロドロ溶けてく頭。背中を抱きしめられて、息も、声も、全部飲み込まれるような、そんなキスに酔いしれる。口の中をバタバタして、歯茎をなぞって、舌を押しつぶして、優しく舐める舌が、クチャリなんて綺麗な水音を立てた。



「せん、せ。ぇ・・・うぁ、ん、」



ボタンを数個外して、裸の肩をセンセーのカサカサな手が撫でる。ふるりと震える鬱血痕まみれの胸を、掴んで、強く吸い付くセンセー



「あ、やだ、せんせ、そこ・・・っ、きたないよぉ・・・っ」

「先程洗ったのだろう」

「で、でも、あ、あぁあんっ」



長い一舐めで乳首を嬲るセンセーの舌は熱い。体を撫でるように這いまわりながら、傷を撫でる手は冷たい。温度の差にゾクゾクする体をされるがままにしてたら、ビッと聞きなれた、コンドームの袋を開ける音と、ふとあてられる太い、口の中に入れなれたそれ。



「あ、んんっ」

「・・・・っく」



なんの言葉もないのに、痛み0で最後まで入ったそれ。生娘じゃないし、入ることは入る。さっきまでの遊びとはケタ違いの気持ちよさに、数回の律動だけでイっちゃった。




「っは、ぁ・・せんせ、っん、ふぁ、きもち、い・・・っふやぁああっ」

「あまり、煽ってくれるな・・・っ」

「あ、や、せん、せ・・・っもっとぉ・・・っ」




お願い、何度でもやって、きつくして、全部センセーで塗り替えて。馴れてたはずなのに、センセーを思い出して馬鹿みたいに怖がってた馬鹿な私を、たくさん甘やかして。



「ひぃ、あう・・・っふ、か・・・っいよぉっ」

「好ましかろう・・・?」

「ん、んっ、すき、好き・・・っ」



頷いて、喘いで、もっと深くと腰を振って、卑猥な水音が響いて、冷たいフローリングに、耐えるために掴む場所があるわけがなくて、ほんの少しの我儘に抱き着けば、センセーの片腕が背中に回った。
もう片っぽの手は、勢い良く出し入れされる私の秘部に伸びて、腫れたクリトリスを押しつぶした。



「あ、ああっ、や、また・・っ いっちゃ、いっちゃう・・っせんせ、あ、ひぐ、んやぁあああっ」



ぎゅうと締め付けたゴムの感触のするそれから、独特の振動がした。引き抜いた所から広がってく、寂しいような、胸がきゅうってなるような苦しさに、重たい体を無理矢理動かしてゴムをはずしたセンセーにしがみ付く。




「もう替えがないのだが」

「いいから、おねがい・・・っ せんせー、くるし・・・っ」




荒い息のままのおねだりに効果はあったらしい。小さな、舌打ちのような音のすぐ後に、熱いものが中に勢いよく入ってきた。対面座位で打ち上げられるそれは、大きくて、熱くて、さっきの何倍も私の中を満たしていく。



「あ、あっ ひゃめ・・・っきもちい・・・っあ、」

「どうなっても知らぬからな」

「い、から・・・おねが、せんせぇっ」

「萎える呼び方をするな」



萎えちゃうんだ。え、なら、何て呼べば・・・曹操センセ? いや、言える気しないし。ふって頭に浮かんだのは、正直賭けみたいなものだった。



「も、もー、とく、さ、あっ」

「それで良い・・・っ」

「もーとくさ・・・っあ、も、らぁ、めっふや、」




一際、強く打ち付けられた衝撃と一緒に、明滅する視界と熱くなる中。ぷちって、合わせるだけのキスはすごく優しくて、愛されてるなんて幻想を、私は抱え込んでしまった。