※フォロワー様のツイートより
※未成年だと知らず手を出してしまったモブ×のざ事後
※不穏からのハッピーエンド
何がどうしてこうなったのだろう―男の脳内は混乱を極めていた。
己より体躯の大きな恋人と初めて臨んだ情交は、想像以上に甘美で淑やかなものであったはずなのに。
体を繋げた時と同じベッドの上。全裸の恋人がにこりと笑ったまま己に突きつけているのは『私立浪漫学園生徒手帳』と刻印された手の平サイズの小型手帳だ。
―俺、まだ十七才なんですよ。見えないですよね、よく言われます。
セカンドバッグに忍ばせていたそれを取り出しながら、彼が独り言のように零した台詞が脳内に反響した。恐らく年下だろうと想像はしていたが、己とそう年は離れていまいとなんの根拠もなく保持していた自信が、ガラガラと瓦解する。
じわりと、額に汗が滲むのがわかる。しかし、彼が今、このタイミングで年齢をカミングアウトした理由についてはわからなかった。
いや、正確には、脳の勝手な思考の末に辿り着いた憶測を否定したいがために、わからないふりをしているのだ。憶測の肯定は、彼と共に歩んだ楽しい過去まで否定してしまうから。
「…大人が、未成年に手を出しちゃ、不味いですよね?」
ギシリ、と。彼が緩慢な動作でこちらににじり寄れば、ベッドが軋んだ音を立てた。目を弓形に細めてゆっくりとこちらに手を伸ばす彼の仕草は妖艶で、なのに己の胸は興奮ではなくとてつもない不安からバクバクと脈打っている。
「だから、ね…●●さん」
仄かな熱を帯びた吐息が耳朶を擽り、落ち着いた低音が鼓膜を震わす。
―否定されてしまう。愛おしいはずの彼の口から、自分達の関係を。
いっそのこと間近にある彼の唇を手なり口なりで塞いでしまいたかったが、情けないことに、己の体は金縛りにあったかのようにピクリとも動かなかった。
そして。大きな掌で片頬を捕らえられ、己が身を竦ませると同時に、
「未成年に手を出した責任を取って…ずぅっと一緒に居てくださいね?」
「………へ、」
蕩けるような笑みを向けられ、意図せず喉から間抜けな音が漏れた。ニコニコと嬉しそうに笑う彼の顔は、確かに高校生のあどけなさを有していて。
その屈託の無さに。彼が強請っていたのは金でも弱味でもなく、永遠の愛なのだと漸く気づいた。
まだまだ甘い情事の痕跡が残るベッドの上で。肩を震わせた己が紛らわしいわと絶叫するまで、あと二秒。