※ほりのざ口内調教
―貴方と恋人同士にならなければ知ることはなかった。
口内で脈打つ雄の熱さも、トロトロと溢れる透明な粘液の味も、己の喉奥に存在する性感帯も。
堀の股間に顔を埋めながら、野崎は口内の奥深くまで入り込んだ肉棒にねっとりと舌を這わせた。
「は…ぁ、ぅ…ッ」
舌の付け根まで使って奉仕すれば、堀が腰を震わせて官能に酔った吐息を漏らすことを知っている。恋人が、己の一挙一動に喜んでくれる様がこんなにも嬉しい。
しかし、野崎は知っていた。目の前の恋人は、ただされるがままに喘いでいるような消極的な人物ではないということも。
「…ん!んんッ、んぐ、ぅ…ッ!」
口内の再奥の、一歩手前。上顎を膨張した亀頭で小突かれ、野崎はくぐもった嬌声を漏らした。
じわりと滲んだ涙の膜越しに堀を見上げれば、頬を上気させた彼がにやりと口角を上げた。
「…ここ、気持ちいいか?」
「―んんッ!ふぅ、ぅん…ッ!」
問いながら、同じ箇所をコツコツと刺激される。鈴口から零れる先走りを塗りつけられて、野崎は堪らず腰を浮かせた。未だ下着に押し込められたままの野崎の性器がぴゅくりと精を吐く。
下着の生地が色濃く移りゆく様子を目の当たりにし、堀は心底嬉しそうに笑みを深めた。
「軽くイッたか?そろそろ本当にフェラだけでイけるようになりそうだな、お前」
その言葉は、かつて堀自身が語った願望だった。いつか口だけでイけるようにしてやるからな、と、以前堀に頬を撫でられながら告げられたことを思い出す。
宣言通り、堀は野崎の口内を性感帯へと開発していった。喉奥の手前に敏感な箇所を見つけ出し、最初はただただ優しく、時が経つにつれて徐々に激しく、堀は自身の雄や指で野崎の中を丹念に愛でた。
刺激を与えながら、お前はここで感じるのだと、そんなお前を見ると堪らなく興奮するのだと口にすることも忘れない。時間を掛けてゆっくりと、野崎の脳に刷り込むように囁かれた台詞。堀の言葉は遅効性の薬のようにじわじわと効果を表し、やがて野崎の口内は肉棒を咥えて快感を得る性器へと変貌した。
「はッ…ここにたっぷりぶっかけてやるから、可愛くイってみな」
お前はここで感じるんだから、と。何度も繰り返し聞かされた呪文に、野崎はぶるりと身震いした。触られてもいない性器は限界まで勃ち上がり、解放を求めて熱く脈打っている。
本当に、口内を犯されただけで達してしまいそうだ。その予感に背筋がゾクゾクと戦慄いた。背筋を走ったのは未知の感覚への恐怖と、それを大きく上回る期待。
―貴方と恋人同士にならなければ知ることはなかった。己の体が作り替えられていく悦びを。
とろりと蕩けた視界の先。視線だけで強請る野崎に気づいた堀がくすりと笑った。
野崎の側頭部に添えられた両手に力が籠る。互いの熱が弾けるまで、あと僅か。