※R-15程度の描写有り
※童●をコロすセーターネタ


ベッドの上でぎこちなくポーズを取る人物に向かって、堀は黙々とカメラのシャッターを切り続けた。
レンズの向こう側の被写体は野崎だ。困ったように眉間に皺を寄せた野崎が、レンズ越しに堀を見詰める。

「そんな顔すんなよ。ちょっとセクシーな服着てる人物の資料が欲しいって言ったの、お前だろ?」

堀の言葉に、野崎はきゅっと下唇を噛む。数十分前、確かに己はそう言った。お前がこれ着たら俺が撮ってやるよ、と言う堀に従って、この服に着替えたのも己だ。
野崎が今身に着けているのは、背中がばっくりと割れたセーターだけだった。丈は膝上20cm弱、両腕が露出するノースリーブ。むしろ毛糸で編まれているというだけで、これをセーターと定義していいのかわからない。どうしてこんなものを持ち歩いているんですか、と野崎が至極全うな質問をする暇もなく、あれよあれよという間にベッドの上の撮影会が始まった。
着込んだ当初はただ肌寒いとしか思わなかった野崎も、熱心にシャッターを切る堀の視線を肌で感じ、段々といたたまれなくなってきた。せめて下に何か穿いていればまだ良かったのでは、と後悔する。下肢の衣類は、堀に『太腿と尻のラインがよく見えなくなって絵に起こす時に邪魔だ』と主張され、勢いに呑まれて取り払ってしまっていた。
伏し目がちに目線を下げれば、更に羞恥心が増した。スラックスの中で隆起した堀の雄が、窮屈そうに布地を押し上げている。性的に興奮しているのは明らかだが、当の堀は涼しい顔で撮影を続けていた。
あまりにもアンバランスなその様が気になって仕方がない。撮影に集中したくとも、カメラの方を向けばどうしても堀の変化に目が行ってしまい、野崎は戸惑った。

―どうして触ってくれないのだろう。

普段の彼なら己の肩に腕を回し、熱を帯びた吐息と共に甘ったるく名前を呼んでいるだろうに。一度湧き出た疑問は次第に膨れ上がり、野崎の脳を苛んだ。

―どうして、レンズ越しにしか見てくれないのだろう。興奮しているくせに、どうして。

羞恥、疑問、焦燥感。様々な感情に翻弄されながら、野崎は敷かれたシーツを片手でキュッと握りしめた。

―触って欲しい。いつもみたいに、皮膚の固い指先で、唇をなぞって、胸の尖りを潰して、下半身を撫で回して、それからもっと感じる場所を、指先よりも固いもので擦って、突いて、もっと、もっと。

「…こら野崎」

突如名を呼ばれ、思考がトリップしていた野崎は大きく肩を跳ねさせた。

「人の股間ばっか熱心に見詰めてんじゃねーよ、変態」

口角を上げた堀がせせら笑う。無意識のうちにあらぬところを凝視していたことを自覚し、野崎はカッと頬を赤らめた。

「撮影が終わったら、今お前が欲しくて堪らないもん、いくらでもくれてやる」

だから今はおあずけだと続けると、頬を染めた野崎がはい、と小さく言って頷いた。
再びカメラを構え直し、堀は内心苦笑する。

―欲しくて堪らないのは俺の方なんだけどな。

だって、目の前にこんなにも魅力的な恰好をした恋人がいるのに。理性を殺されずにいる方が可笑しいのだ。
自然な動作で顔を隠しながら、堀は切羽詰まった己を悟られぬよう、舌を舐めずった。


堀がカメラを投げ捨てて野崎に覆い被さったのは、それから3分後のことだった。



「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -