愛嬌










「これは…一体…」


昨日の早朝、突然任務へ行ったマダラが帰ってきた。

彼は私の部屋に入りながら着けていたお面をはずし、部屋を一望しながらそうぽつりと呟いた。


「え、何?どうしたの?ってかマダラおかえりー」

「え?ただいまー…、じゃなくてだな、何が『おかえりー』だ。お前は今日が何の日か覚えてないのか?」

「え?何が?」

「オレがわざわざ任務に出て、1日留守にしたというのに、マジカル、お前まさか…」

「え?何?何なの?今日が何?」

「………」


じっと私を見ているマダラ。
その視線がだんだん下から睨むようになって、次第に期待と望みを込めるような…物欲しげに見上げるようになって、それからガックリと項垂れたかと思うと、ポロリと輝く雫が床に落ちた。


え?
……雫?



「ちょっ、なんで泣いてるの!どうしたのマダラ!」

「お前だけは覚えていてくれてると思ったのに〇%*×△@…っ」

「あわわっ、何言ってるかわからない!…な、泣かないでマダラ!よしよし、いい子だから!ほら、私覚えてるよ!忘れたなんて嘘だから!ね?ね?」


そう言って、膝と手を床につき項垂れて泣き叫ぶマダラを、ぎゅっと抱きしめて頭を撫でてやった。

すると、人の胸に顔面を押し当てたまま鼻をすすって、ぐすんぐすん言いながら、マダラは私の腕を掴み顔を上げた。

うるうるした写輪眼って怖くないなーなんて思いながら、マダラを見つめていたら、マダラが口を開いた。



「プレゼントはなんだ」

「!」


その一言で、私は全てを思い出した。


「あ、メリークリスマス!マダラ!メリークリスマスーっ!あっはっは!」


いやー、完全に忘れてたよマダラ。本当に申し訳ない。
そうだよねー、クリスマスツリーすら出してないし、それは私の部屋を見て驚くよね。

クリスマスといえばカップルはイチャつく日だもんね。
うんうん、こんな殺風景で申し訳ないけど、盛大にイチャつこうじゃないかマダ…


「………」


床に倒れ込むようにして咽び泣くマダラが目に映った。


「マ、マダラ!どうしたの!殺風景が嫌なの?」

「わぁーあっぁ…、うぁーあっあぁあー…うがっ…」

「ちょ、その変な泣き方やめて!面白いからやめて!」

「なんだと?なんて冷酷なんだ。人が悲しみにくれているというのに……うぅわあーぁ…っぐおおぉっ」

「うるさいよ、面白いからやめてってば!」

「クリスマスよりもっと大事な事があるだろう。思い出せ、マジカル」

「!」



…………うわーやっべぇ、完璧に記憶から抹殺されてたよ。
今日マダラの誕生日じゃん。
つかもう12月24日かよ。マジかよ、何にも用意してないよ。


あ、でも幸い、昨日美味しそうなケーキを買ったんだった!
セーフ!よくやった昨日の私!
しかも奮発して4つも買ったんだ、偉い!



「冗談だよマダラ!忘れるわけないじゃん、覚えてるって!だって私ケーキ買って来てるもん!」

「嘘臭いな」

「ほ、本当だって!ほら!ケーキ!」

「……」


ものすごい疑いの目で見てくるマダラ。
そんなマダラの目の前にケーキを並べて、常備してあるジュースをコップに注いでテーブルに置いた。

しばらくそんな私の行動を見ていたマダラだったけど、再び私を疑いの目で見てきた。


「な、何?ケーキ食べたいのなかった?」

「いや、ケーキは全部食べたいが、オレへのプレゼントはないのか」


全部食べたいのかよ!

てかプレゼントって…
忘れてたんだから買ってるわけないし…


「……あ!プレゼント!プレゼントあるよ!」

「……」


まだ疑いの目で見てるけど、そこはスルースキルで流しておいて…

3日前にカタログで注文したシュガーブラウン色のふわふわクッションがあったわ!
それとサイズ間違えて注文しちゃった着ぐるみ型パジャマ(ガチャピンみたいなの)があったはず!

よしきた、これでプレゼントミッションも完了だわ。


「はい!これプレゼント!上手くラッピング出来なかったからこのままだけど、どうぞ!いなり寿司クッションと恐竜パジャマだよっ」

「ただの茶色いクッションじゃないか」

「ぇ…いや…、い、いなり寿司だよ、いなり寿司!あはは…」

「………」


ものすごい疑いの目で見てくるマダラ。

さすがにきついかな…
バ、バレるかな…
てかバレるか、普通に。

なんて思っていたら、マダラがもそもそとコートを脱いで、着ぐるみパジャマを着始めた。

着ぐるみを着終えると、プレゼントしたばかりの、いなり寿司と称したクッションをむぎゅっと両手で抱きしめた。


「………」

「…っ…」


おおおおぅ…!
ちょっ…、か、可愛い…っ
おまっ、ホント可愛いよ黒幕可愛い!!!


「まあ、もらっておこう。ん…このクッション、お前の匂いがする、保存しよう」

「後半の変態発言は流しておいて…ありがとう。てか可愛いよマダラ、似合ってる!」

「マジカルの匂いだからな、洗わないから安心しろ」

「ちょっ、何で匂いを嗅ぐのよ。てか洗いなさいよ。そして私の発言は無視かよ。てかケーキどれ食べる?」

「片っ端から全部食わせてくれ」

「……うん」



やっぱり私の分のケーキはないらしい。

でも私も食べたいから、口を開けて待っているマダラをスルーして、ケーキを食べてやった。


すると「オレのケーキじゃないのか」なんてむくれて言うマダラがいて。
そんな彼のおでこに、ちゅっと口づけてみたら、一変して彼は幸せそうに笑った。





「マダラ、誕生日おめでとうっ!」

「何だか上手く丸められて流されている気がす…」

「気のせいだよ!」




※※※※※※※

以上になります!
素敵な企画に参加させて頂きました!
本当にありがとうございました!

ベタな展開すみませんorz
愛嬌あるマダラさんを目指したら
こんなベタなことにw






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