アメの戦






気がついたらマダラの腕を掴んでいたわけで、ふと意識が覚醒したら雨に濡れたマダラが隣にいたのだ。

まったく無我夢中とはこのような事を言うのだろう。

どうしてもマダラと関わりを持ちたかった。心から望んでいたからこそ、無意識にこんな行為をとったのだと思う。

マダラの顔をちらりと覗き見れば、なんとも不機嫌そうに眉間にシワを寄せている。


「貴様は本当に能天気な奴だな、よくもまあ戦中に、敵の頭領であるオレをこんな家に閉じ込めたものだ。オレを愚弄しているのか」

「…すまん、そんなつもりは毛頭ないのだが…つい、な…」

「なにが『つい』だ。明らかに確信犯だろう。まったく、つくづく好かん奴だ。たかだか雨位で一時休戦など…」

「はは…まあそう言うな。お主とはゆっくり話しがしたくてな…」

「フン…くだらない。しかし柱間、お前の術は便利だな。家まで建てられるとは思わなかった」


そうマダラは言うと、オレの四柱の術で建てた家の柱を、ぺちぺちと音を発てて軽く叩いた。

その様子を見守るように見ていたら、振り向いたマダラが「薪を出せ」とオレに言った。
頷き印を結び、手頃な木を出せば、手早くマダラが並べ、口からフッと火を吹いた。

その姿が実に愛らしいと思ったが、それを口に出せば、ただではすまないとわかっているから、さりげなくうつ向いて、自分の表情を隠した。


「…で、何の話だ。話がしたいと言っていたが」


そう言いながら、オレの斜め向かい側に腰を下ろしたマダラ。


「ん?…そう言われると、な…特にこれと言ってはないのだが…まあマダラ、まずは濡れた髪を乾かさなくては、風邪をひくぞ?」

「お前の知った事か。余計な世話っ…」


なかなか言うことを聞かないマダラに、タオルを被せてやった。
やっと二人きりになれたのだ。滅多にこんな機会はない。


とにかくマダラに触れたかった。


「…っ…」

「さて、拭いてやるぞマダラ、こっちへ来い」

「な!貴様…っ、は、離せ…やめろ…!」


わしゃわしゃと頭を拭けば、やめろと暴れるマダラ。
そんなマダラを後ろから抱き込むように捕まえれば、ようやくおとなしくなった。


「お、ついに諦めたかマダラ?ははは…」

「…っ…おのれ柱間…雨が止んだら覚えていろ…」

「おお、怖い怖い……写輪眼はよせ、マダラ。お主の術に掛かったら、オレはひとたまりもないではないか」


そのオレの一言に機嫌を良くしたのか、マダラは「フン、当たり前だ」などと言いながら、口元を嬉しそうに緩めたように見えた。

本当は、後ろからだからよくは見えなかったが、伝わってくる雰囲気で、オレはそれとなくそう思った。


マダラの髪を撫でるように優しく拭いてやれば、しばらくして、マダラはオレに身を預けてきた。

もたれてズルズルと滑っていくマダラを抱き直そうと、ふと顔を覗き込めば、マダラはうとうととしていて、見つめていれば、黒い瞳はまぶたをおろして閉じた。


すぅすぅとあどけない表情をしながら、静かな寝息をたてるマダラ。
そんなマダラの穏やかで愛らしい姿を見ながら、実にこの時間を堪能していた。

ふと思いついて、「しめた」と心の中で呟くと、オレはそっとマダラの額に口付けた。

外は未だに酷い雨が降り続いている。




まだまだアメは止みそうにない。





※※※※※※※※

柱→→→→←斑(笑)
そこはやっぱり憧れの柱間様なマダラさん。
誉められるとこっそり喜びます(笑)

柱間様の幸せタイムは雨の日にやってきます。
雨とアメを掛けてみ(ry






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