新しい家族



お風呂から上がってくるマダラ。
とりあえず新しい男物の下着を探したら、弟が自分の使ってないやつを発見した。
残念ながらお父さんのはなかったから、サイズが気になったけどマダラに下着を渡した。

因みにさっきまで着ていた服は何も言わずとも、ちゃんとマダラは洗濯機に入れたようだ。
案外ちゃっかりしっかりしてんな。

パンツだけでうろつかれると非常に困るので、とりあえず弟の半ズボンとTシャツを着させる。
サイズは…まあ問題ないか。気にしない気にしない。


…今さらだけど、アンタまだお面取ってないのかよ。
もう諦めろよ。

そう言ったけど、「断る」の一点張りだった。
まあいいけど…ちょっと残念だったりする。


とりあえず今夜はお父さん帰ってこないからまあいいか。
とりあえず事情を話す苦労は今は避けて通れる。


「おい、ゆう。手がふさがって髪が乾かせない」

「うるさいな、じゃあ手を空けろよ、塞ぐな。つうかお面置けばいいじゃん、そしたら手が空くじゃん」

「断る、ゆう、乾かしてくれ」

「えー…」

「ゆう」

「…ったくもう仕方ないなあ」


好きなキャラなので、とりあえずワガママは聞いてやろう。
これがどうでもいい、例えば暗部Aみたいな…
手下Bみたいな奴ならさっさと追い出してあげるところなんだからな、マダラ。


「意外と優しいな」

「なんだ意外と、って、失礼な奴だなーお前」

「フッ…お前達は…敵ではないのだろう?ならばオレをここに住まわせろ。行く宛がない上に、どうやら力が使えなくなったらしい。成り行き上、オレを迎え入れるのが正当だと思うが?」

「いやでもいきなりは…家にも事情があるし…」

「オレとて事情がある。長居もするつもりはない。力が戻ったらさっさと帰るさ。だからここに住まわせろ」


その言葉に台所に立っていたお母さんがこっちを見る。
その視線に気が付いたマダラは、「その…住まわせて欲しい、頼む」なんて言い直しやがった。
おい、お前私には上から目線なのにお母さんには従順かよ。


「とりあえず明日お父さんが帰ってくるから、それまではわからないの。今日は泊まっても結構」

「ありがたい、助かる」


お母さんは再び台所に向き直して、洗い物をする。
するとそれを見たマダラが、小声で「また辞書を投げつけられるのはごめんだ」なんて、若干怯えたような声で言うから、なんか笑ってしまった。

どうやらお母さんが怖いらしい。まあ仕方ないか、あんなジャンプ投げつけられたんだし。
普通に痛かっただろうな。

てか辞書じゃないよ、ジャンプだよ、ジャンプ。…まあ確かに辞書みたいに分厚いけどさ。


「大丈夫?」

「何がだ」

「いやまあいろいろと」

「…大丈夫なわけないだろう。力が使えない挙げ句、辞書が当たった部位が痛む」

「あらまあお気の毒に」

「お前が殴ったところもちゃんと痛むぞ」

「それはごめんて」


「まったくとんだ女供だ」なんて言いながらマダラが腕を擦ってたら、お母さんが梨を剥いて持ってきた。

マダラはお礼を言って「こんなに食えんな」なんて言いながら一人で梨を食べるものだから、弟が「マダラのためだけなわけないじゃないか、まったく」なんて呆れて言うから
何だかマダラかしょぼーんとしてる。

可哀想だから弟を叱ってマダラの頭を撫でて慰めてやった。
「やめろ」とか言ってたけど私の手を振り払いはしなかった。きっとみんなに冷たくされて寂しいんだね。可哀想に。

すると何故か私の方をじっと見てくるマダラ。


「何?」

「オレはゆうの部屋で寝るからな」

「えーマジかよ、居間で寝ろよ。つうかそこに三人掛けソファーがあるからそこで寝たらいいだろ」

「断る」

「女の子と一緒に寝ようなんて…なんて卑猥な男なの」

「安心しろ、お前みたいな変質者を襲いはしない。むしろお前こそオレを襲うなよ」

「おい、お前…!変質者てなんだ、変質者て。つうか襲わないわよ」

「どうだかな…最初にお前を押さえ付けた時にお前が危ない人間だとわかった」


そう言うとマダラはお面を少しずらして梨を食べ始めた。
そして何故かフフッと小声で吹き出して笑った。
マダラめ…私の変顔を思いだして笑ってやがるな。








※※※※※※※※

なんか可哀想なマダラさん。

夢主は変質者に出会った対処法で、とてつもない変顔をしていたようです。





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