突然やってきた奴




それは突然だった。

いつも通り、夕食後、私の部屋で携帯を使って色んな夢小説やら同人サイトを回っていたときのこと。


イヤホンから聞こえる音楽はボカロ。
ベッドに転がって携帯開いて、勝手にノリノリで炉〇融解を歌って、あーそろそろ部屋を片さないとな、なんて思ってジャンプやら、主にギャグの同人(親に見られたらまずいものもある)が散らかった部屋を見回したら、そいつはそこに居た。


「っ!?」


一瞬ホラーかと思った。
ついに私も霊が見えるようになったのか、呪い殺されるのか、と頭の中に瞬時に言葉が浮かぶ。

そりゃそうだ。
何も言わずに全身黒い背の高い人がドアの前に立ってこっち見てるって…誰だって怖いよ。

悲鳴をあげそうになったけど、一瞬で声を飲み込み、敵の容姿をよく見た。

背が高くて、オレンジのぐるぐるした片穴のお面。
全身黒で、コートは私の大好きな暁の…


「わああああ逆トリきたぁあああぁ!!!」


思わず悲鳴ではなく喜びの奇声をあげてしまった。
なんたって今一番熱いマダラが来たのだから。

やばい、これあれだ。
現代の過ごし方とか色々教えて、私が面倒みてやるってやつだな。
おいおいおいおい、楽しいなお前、顔ガニヤケルヨ。


「………」


あれ?待てよ?
普通こうゆうのって、逆トリしてきた人が驚いて焦るものじゃないのかな?

何だろうこの落ち着き具合。っていうか、なんだこれ。
この雰囲気、すごい怖い。
そうあれだ、蛇に睨まれたカエルみたいな…


「……」

「………」


うん、これ完全に狙われてるよね。
ただならない空気だよアンタ。人がせっかく逆トリだ!って喜んでるのに、いきなり死亡フラグかよ。


これ明らかに名前とか呼んだらアウトだ。
貴方を知ってますなんてバレたら終わりに違いない。マダラなんて言ったら最期。完璧に暗殺されるわ、これ。この雰囲気はやばい。

かといって、私は何も知りませんよアピールなんてしたら、逆に要らない邪魔な存在として殺られるよね絶対。


「………」

「……」


おいィィィ!!!?
最初から無理ゲーっておまっ!!?ふざけんなよ!!モウ詰ンダヨ!!
なんだこの新品で買ってきたゲームがいきなりバグって永遠に進められないみたいな悪夢の展開は!!?

……そりゃ不良品か、ははは。
って…


「!!?」


おまァァ!!?同人踏んでる!!!同人誌踏ンデルヨ!!!
てかなんでお前びしょ濡れなんだよ!!しかも土足かよ!!?

おい!どけ!!
逆トリとか喜んでる場合じゃないぞこれ!!!?

仕方ない…魔法の言葉を使おう。これでその汚い足を同人から退けるがいい。


「どうやら…同人は犠牲になったようだな」

「!」


言葉を発した瞬間、ヤツはこっちに飛びかかってきた……






※※※※※※※


なんという罠。
とりあえずいろいろごめんなさい。





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