そんなギャップ法則



「いやー、牛丼美味かったねーマダラー」



牛丼を食べて満腹感に包まれたので、上機嫌でマダラの肩をバシバシ叩いたら、マダラに軽く額を平手打ちされた。


「痛っ…なぁにすんだコノヤロォー」

「お前が先に叩いたんだろう」

「おまっ、心狭いなー。軽く叩いただけじゃんよー」

「バシバシきた、バシバシ」

「バシバシって、お前痛くないだろ!忍者だろ忍者!こんなか弱い女子に叩かれた位で痛いわけがない!」

「バシバシきたんだ、バシバシって。バシバシ痛い」

「ちょ、お前…!なんか面白いからやめて!」

「何が面白いんだ。あいにく、オレは叩かれて嬉しいなんて被虐趣向はないんでな、やめろ」

「えー、たらこめ」


そう言ったら、マダラが目を見開いた。
そして目を細めて、意地悪そうに笑いを含んだ声で突然言い放った。


「…誰がたらこだ。いいかゆう、よく覚えておけ。オレはマダラだ、うちはマダラ。オレは唯一にして二人目の六道仙人、この世を統べる者なのだ」

「……」


牛丼屋から車で出発してから約15分くらい経った。
車の中でマダラとおしゃべりしてたら、突然、自ら勝手にダイナマイト級の発言を豪速球で投げてきたマダラ。


「……はッ!?」

「……」

「……っ…」


なんだコイツ面白ェ!!
自分から勝手にバラしやがった!!

てか「はッ!?」ってなんだよ!そのリアクションもろじゃねぇか!!
つかどんだけ目を見開くんだお前!
そうか、お前がなかなかお面を(本誌でも)外さない理由がわかったぞ!

あれか!
お前表情豊かだなオイ!!
リアクションのせいでバレバレじゃないか可愛いな黒幕お前!!


「……っ…」


なんだか口を手で押さえてぶるぶるしてるよ!
なにこれ可愛い!

でもまあしょうがないな。ここはわざと気付かなかったことにしてやんよ。


「へぇー、この世を滑るってことは、実はマダラはアイススケートの選手なんだな?ふはは!私には隠せないぞマダラめ!…つかそっちの世界ではすごいスケート選手を六道仙人?って言うの?ストレートに言っていい?ダサくないか?」


我ながらすごい。
すごい優しいよ私、誰か誉め…!


「…フッ」

「!!?」


なに笑ってやがるマダラてめぇ!!?
今コイツ絶対心の中で「馬鹿で助かった」とか思ってるだろ!
ちっくしょおー!!!明らかに私よりマダラの方がバカだろ!なんで私がバカにされてんだよ!!


「なによ!なに笑ってんのよ!」

「いや、気にするな」

「なんなの?言いなさいよマダラ!」

「別に何もないと言ってるだろう」

「笑ったくせに何もないわけあるか!そんなだから柱間と戦って木遁でボコボコにされて負けるのよ!なによあの終末の谷の頭でっかちの短足な像は!寸法計って造れ……はっ!?」

「何…?」

「…っ!」


ししししまったアアアア!!!
ついついバカにされたから悔しくて、ペラペラと喋ってしまった…っ

ヤバいぞ!これはマズイ…っ
どうしよう…、暁メンバー知ってるの隠そうとかもうそんな場合じゃないじゃないか!

『柱間』言っちゃったよ!『終末の谷』言っちゃったよ!!
マダラのことを知りまくってる人の言い方しちゃったよォォ!


「おい…」

「いやっ、これは…!」

「よく聞け。オレはアイツにボコボコになどされていない。勘違いするな。あの戦いは、世間一般ではオレが里の主権で対立して争い、あの場で柱間に追い詰められて自害したとあるが実際は違う。いいか、オレはわざと負けたんだ、死んだように見せかけてな。その方が逃走しやすいから……はっ!?何を言ってるんだオレは…」



やべぇ、やっぱりマダラはアホだったわ!
もうこのまま、たたみ掛けてやるぜ!


「ほらみろ!負けたんじゃないか!」

「な…っ、違う!わざとだ、わざと!アレは柱間の……はっ!!…ゆう…お前まさか、オレから情報を聞きだそうとしているのか?」


ムキになって言い返してたマダラが、突然冷静になって怪訝そうに目を細めた。

ちょ、なにそれかっこいい!
ヤバいよかっこいい!



「ホントかっこいい!!」

「…なんだ突然…」

「え?い、いや何でもないよ!それより、私がアンタから情報聞き出してどうすんのさ。なんも出来やしないわよ、一般人なめんなよ」

「……どうだかな」

「何が『どうだかな』よ。マダラが勝手にペラペラ喋ってるだけじゃん」

「お前が負けた負けたと言うからだろう」

「えー、言ってないよー」

「言った」

「そんなに言ってないし。まあマダラがかっこいいとは言ったけど」


ぼそりとすごく小さな声でそう告げると、隣に座ってるマダラがピクリと反応した。
そんなマダラの左手を、お母さんと弟から死角になる位置でぎゅっと握ったら、マダラに私の右手は振り払われた。

あれ?
なんか振り払われたんですけど…

…なにこれ悲しい。
え、すごく…切ない…
拒絶される事が、どれ程悲しい事かすごく理解したわ…

今度から嫌いな人からメール来ても、シカトしないで1、2通は返信しよう、そうしよう…


とか思いながら押し黙って下を向いた。
そしてわざと泣いたフリで目を擦ってみた。



「………」

「……おい…」

「…………」

「…ゆう」

「………」


呼ばれてもずっと黙って下を向いたまま目を擦ったら、まんまと私が泣いていると勘違いしたマダラに腕を引っ張られた。
そして不安気に顔を覗きこんでくるマダラ。


小学生か!!
これは自分の行為で女の子が泣いた時にする男の子のアレだ!
女の子が泣いてるのか確認するために、泣いてる顔を隠す女の子の腕をどかす、「おい、泣くなよ…」とか不安気に言う不器用でテンパる男の子の動きだよ!
やべェ可愛い!可愛いよマダラ可愛い!!

そして私はさらに鼻まですすってみた。
ざまぁ!ざまぁ!!ふははははは!
もっと私に萌えをよこせ!ラスボスさんよォ!!!


「おいゆう…」


どんだけ覗きこんでくるんだマダラ!
なんだよお前が悪いんだぞ。私の手を振り払いやがって、ちくしょー。

とか思ってたら、マダラがスッパ〇ーチョの袋をがさごそいじり始めた。

何をしてるんだろうと思ったら、中を確認して、開けた袋の口を自分の手に向けて逆さまにしてから、マダラが私の口元にスッ〇ムーチョのポテチのカスを押し付けてきた。


「っ!!いらねーよ!おまっ、カスじゃねぇか!」

「遠慮せずに食え」

「食わんがな!?」

「ならば機嫌を直せ」

「な、わかった!ちょ、わかったからやめろって!やめ…、カスいらな…むぐっ!」

「たくさん食え」

「…っマダラ、てめぇ…!!鼻にカスが…っくしょ…!くしゃみが…ふぁ…止ま…っくしょ…!!」

「ゆう、ポテチを風圧で吹き飛ばすな」

「お前のせいだろーがっ!!」



そんなこんなで帰宅した時には、私の顔中、ポテチのカスまみれになっていた。おまけに車の中までポテチのカスだらけになった。
そして私とマダラはお母さんに叱られて、仲良く二人で後部座席周辺を掃除したのだった……




※※※※※※※※

子どもなマダラさん(笑)
涙に弱いマダラさん素敵^^
女性には優しい黒幕w

そういえば、最近では『子供』って書いたらマズイらしいですね。
よく分かりませんが、とりあえずこれだけ言わせてください!
私はバイキンマンが好(ry






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