もしもあの時代に車があったら



「サスケ、車の免許を取ったんだ」


兄貴が突然オレにそう言ってきた。


「え、でもこの前から教習所に通い始めたのにもう卒業したのかよ」

「あぁ」


オレは不思議に思った。
確かに、兄貴は誰からみても、天才の類だった。
あのマダラでさえも、イタチは稀にみる鬼才だと言っていた位だ。
それなら、教習所から卒業できる平均の月日を下回っていてもおかしくはないと思う。
だけどこれは、いくらなんでも早すぎる。


「ずいぶん早くないか…?」

「面倒だったから少し頑張ってみたんだ」


兄貴は微笑みながらすでに用意してある車の助手席のドアを開ける。
ていうか、この車なんだよ。ベンツかよ。なんで黒いベンツなんだ、兄貴は初心者なんだぞ。いきなりどんだけいい車に乗ってやがる。
つか誰だこの車買ったの。いや、想像はつくが…


「おいこの車…」

「あぁ、この車はマダラさんが買ってくれたんだ。…免許取ったお祝いだってさ、あの人、本当に優しい人だよ」


ホントだよ。
どんだけだよ。初心者にベンツって正気か。
なんで外車なんだ、つうかどんだけ金持ちだよアイツは。

しかし…


「兄貴、なんで助手席のドアを開けんだよ?」

「何言ってるんだサスケ、ドライブに行くからに決まってるだろう?」


朗らかに笑う兄貴。


「…あのさ兄貴、ちゃんと免許持ってんのかよ?」

「当たり前だろう?…せっかく免許も取ったし、かっこいい車まで買って貰ったんだし、ドライブに行くしかないじゃないかサスケ」


ニコニコと笑う兄貴が、何だか怖く見える。
つうか、…ん…?
兄貴は免許取ってから運転したのか?
まずは慣れてからだよな、普通ドライブって…


「なあ兄k…」

「初運転だ…緊張するな…」




………。

死 亡 フ ラ グ !!

何かもう初運転とか言ってやがる!!
まだ聞いてもないのに初運転って言ったぞ兄貴のやつ!?

つうか車買ってやった張本人どうした。
マダラの奴は行かないのかよ。


「兄貴、マダラは?」

「マダラさん?…あぁ、何か仕事が入ってしまったみたいで…でも、兄弟で仲良く行くといいって言ってたぞ」


あの野郎!!逃げやがったな!!?

今日は日曜日だろ!仕事休みって先週アイツ言ってたぞ!?
ちくしょうが、なんて恐ろs…


「サスケ、クーラーが効かないから早く乗ってドアを閉めてくれないか?」

「待て兄貴!どう考えてもおかしい!通い二ヶ月で免許取得なんてありえないだろ」

「………そうか?」



今の沈黙!!!
絶対何かある!絶対裏が…



「実は…万華鏡で頑張ってみたんだ」



ちょっ、裏どころか闇があったぞ!!?
そんなんでいいわけあるか!
今すぐ……



「うわあっ!?」



突然兄貴が腕を引っ張ったから、オレは助手席に引きずり込まれた。


そして背後で鍵の締まる音がした……





〜もしもあの時代に車があったら〜



「…幻術や記憶操作の術はなんて便利な技なんだろうな…そうは思わないか?…サスケ…」


「うわあああ!!マダラァァ!!助けに来てくれェェ!!」


「教習所も免許センターも他愛ないな…」








※※※※※※※※


ダーク兄さん登場。
マダラさんは危険予知で逃げました(笑)

マダラさんいわく
サスケは犠牲になったそうです。





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