夏の思い出




「…ただいま…寂しかったろうサスケ…ごめんな」


オレの目の前にはすまなそうに苦笑いをするイタチ。
何故こんな状況かと言うと、事の始まりは一週間前にさかのぼる。

兄貴は病持ちだ。それも質の悪い肺の病。
それ故、ついこの間までは病室にずっと寝ていなければならない状態だった。
だが、火影兼医療忍者の綱手が、まだ完治はしてないが息抜きが必要だとか言ったせいで
兄貴は旅行に行く事になったわけだ。

オレはそれに反対した。
当たり前だ。

まだ完治してない状態で旅行なんて暢気なモンしてる場合じゃないからだ。
兄貴だって乗り気じゃないと思った。
何故なら、五代目の奴がオレに任務をいれたからだ。
アイツはオレに、何処に行こうか、とずっと聞いてきてたし、オレの分も旅行の準備をしようとしてた。
だから、オレが行けなくなれば兄貴も行かないと思った。

実際その方が良かった。
冗談じゃねぇ、兄貴を別の奴に任せられるか。襲われたらどうする気だ。

…だが、オレの期待をよそにイタチの野郎は

「そうか…一緒に行けないのか、残念だ。今度は一緒に行こうなサスケ」

なんて言いやがった。
しかも南の方に行くだとか言ってはりきる始末。

止めたって無駄だ。
アイツはオレの弱点を心得てやがるからだ。
オレが何か言えば、すぐにしゅんとして謝ってきやがる。
オレはイタチにそんな顔して欲しくないから、いつも流されて兄貴の思い通りになる。
なんてこった、オレは意志が弱いのか。

そんなこんなで気がつけば、兄貴は3泊4日の旅行に行っていた。
兄貴がいないと一日一日が長く感じてしょうがなかった。
今頃兄貴は…なんて考えていたらようやく帰ってきて今に至る。


「サスケ…?」

「まあ…アンタが無事で良かった。息抜きは出来たのかよ」

「ああ、おかげさまで元気いっぱいだ…ありがとうな」

「礼を言われるような事はしてない」

「フフ…サスケ、任務お疲れさま。…それでお前に土産をと思ったんだが、みんな菓子類しかなくてな…サスケは甘いものが嫌いだから、いいのがなくて」

「別にいいよ、土産なんか」

「…でも、いい物を持ってきたぞサスケ…」

「…いい物?」

「ああ」とイタチは返事をすると、何やら箱を取り出す。
その箱、紅芋タルトじゃねぇか。アンタそんな方まで行ってきたのか。ガチで南の国じゃねぇかよ。どんだけだよ。

そんなことを思っていると兄貴は「目をつぶれ」なんて言ってきた。
なんかドキドキする。
アレか?実は箱は見せかけでキスしてくれるってやつだな。
それは遠慮なく頂くぜ兄貴。喜んで受け取らせてもらう。
つうかオレの手まで掴んで…なんだこれ…すげぇ照れんな。


すると近づいていた兄貴が離れてく感覚がする、なんだキスじゃねぇのか、期待しただろ兄貴め…

なんて思って目を開けて見たら、イタチが満面な笑みを浮かべて


「夏の思い出というやつだ」


なんて言うから、つられてオレもはにかみ笑いを溢した。


そしてまだ温かいイタチの手の感触が残る、ふんわりと握られた手を見れば
何故かセミの脱け殻がい、た……




〜夏の思い出〜




「要るかこんなモン!!!?つうか気持ち悪いだろセミの脱け殻とか、兄貴てめぇ何しやがる!!!?」

「落ち着けサスケ、プライスレスというやつだ…もっと大きい脱け殻もあるぞ、ほら」

「捨てろ!!!」






※※※※※※※

久しぶりにギャグを!
といってもギャグはラストだけという罠ww

はわわ…書き方が以前より進化?(退化?)してますな…

セミの脱け殻って気持ち悪いですよね、私は無理です。
触れません、グロテスクすぎて…(ガクブル


とりあえず兄さんは沖縄的なところに行きました。
そして例の紅芋タルトの箱には、兄さんが南の国で拾い集めたセミの脱け殻がぎっしりつまってます←
恐ろしい…、流石にサスケも引きます。

少年の心を持つイタチとクールでちょっぴり大人のサスケのシュールなギャグでした。





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