「名前、誕生日おめでとう」 突然聞こえた声。 眠たい目をこすりながら、ふすまが開いてまぶしい方を振り向いてみれば、そこにはマダラがいた。 「…へっ?なんでマダラ?…え?誕生日?」 「…疑問符だらけだな…今日はお前の誕生日だろう、忘れてたのか?」 「……ぁ、…忘れてた…」 「相変わらず抜けている奴だな」 「なによ…寝起きだから忘れてただけですー…」 枕に頭を預けて言う私の言葉を聞いて、朗らかに笑うマダラ。 てゆうかアンタどうやって入って来たのよ。 いやまあ玄関からだろうけど、私の家の使用人は、何故家主である私に何も言わずに、男を部屋に通すんだろう。 まったく、なんて奴らなの… 今まだ八時よ。朝の八時なんて寝てるにきまってるじゃない。 「名前、ほら起きろ」 「不法侵入よ、マダラ…」 「残念ながらここはうちはの領地内の屋敷だ、うちはの頭領に不法侵入なんて言葉は通用しないぞ」 「なによそれ…あのね…私眠いの…」 「そうか、」 返事をしながら、マダラは私の寝ている布団の側に寄ってくると、私を抱きかかえた。 いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 うん、羞恥で死にそう。 「ちょっと、やめて!恥ずかしいから放して」 「何を恥ずかしがる必要がある、誰も見ていないぞ」 「ちょ、恥ずか……死ぬぅ、羞恥で死ねるぅ…」 「クク…死ぬな名前」 今日はイズナ君と一緒じゃないらしく、屋敷にはマダラしかいなかった。 いやまあ使用人やら部下やらはいるんだけどさ。 マダラの周りには今私以外誰もいないわけで… 「あれ?みんながいない…」 「お前の使用人達なら、誕生日を祝うための豪勢な料理を作っていたぞ」 「えっ?…いや、それって言っていいことなの?」 「お前へのサプライズは、オレが来てやったことだけで十分だ」 マダラは「そうだろう?」と、フッと私を見て微笑んだ。 ああ、なにそのかっこよさ、反則でしょ。 どうりで遊女たちが騒ぐわけだ。 イズナ君の話によれば、遊女たちはこぞってマダラに、タダにするからこっちで遊んで行ってと勧誘するらしい。 どんだけモテるんだマダラ。 「名前、お前は歳を経る程に美しくなる…また一段と美しい女になったな」 「よくアンタ、そんな恥ずかしいことをサラッと言えるわね、それよりどこに行くのよ…」 「屋敷の外だ」 「ふーん…そう…」 屋敷の外って、アンタ、私まだ着替えてもいないし、朝食も摂ってないのよ。 ……え…? 「ちょっとマダラ!やだ!外なんか行かないわよ!」 「お前に拒否権はない」 「なによそれ、」 「安心しろ、人目は避けて行くさ」 「ちょ、ひゃっ」 ふわりとマダラが飛び上がり、木の上を走ってゆく。 うん、めちゃくちゃ怖い…っ 落ちたら確実に私死ぬよこれ、なんでこんな高いところを走れるんだ、忍って。 イズナ君もヒカクさんもみんなすごいなあ… …って、感心してる場合じゃないよ私。 落ちたらやばいからマダラにしがみつこう、そうしよう。 「…名前、大丈夫か?」 「大丈夫なわけないでしょう?お願いだから落とさないでよ」 「安心しろ、お前を離すわけないだろう」 そう言うと、私を抱き上げる腕に力が入ったのがわかった。 ていうか、なんで外に出てくる必要があったんだろう、と疑問に思っていたら、マダラが私の考えを察したのか、口を開いた。 「…千手柱間…お前も知っているだろう?…あいつがな、今日はダメだと前もって言っておいたのにもかかわらず、会合をするためうちはの領地へ行くと文を飛ばしてきた」 「千手が?」 「ああ、まったく我がままでハタ迷惑な男でな。柱間のことだ、オレの返答を待たずにやって来るに違いない」 「それで逃げていると…ちょっとくらい話してあげたらいいじゃない」 「…今日は…邪魔されたくないんだ…お前と二人っきりになりたい」 「言葉が見つかりませんので、スルーの方針で!」 「お前な……ほら、着いたぞ、ここなら大丈夫だろう」 そこは開けた野原だった。緩やかな丘の上に大きな木が一本立っていて、シンプルだけど、とても気持ちがいいところだった。 私はマダラに抱きかかえられながら、その一本の大きな木の方へと近づいて行った。 「名前、」 突然マダラが私を呼ぶ。 視線を木からマダラへ移すと、少し頬を赤らめた彼がいて、何事かと思えば、ちゅっ、とおでこに口づけられた。 私がぽかんとしていると、さっきよりも顔を赤くした彼が、「誕生日プレゼントだ」って小声で言うもんだから、おかしくて笑っちゃったけど、私も顔が熱くてしょうがないところをみると、二人して赤面しているんだなあと思った。 「その……、」 マダラは黒い瞳の視線を、恥ずかしそうに泳がせてから、意を決したように私を見て口を開いた。 「お前がよかったら、オレと…」 「こんな処に居たのかマダラ!探したぞ!ははは…」 マダラの声を遮るように、愉快そうな声が後方から聞こえる。 私が視線をマダラの背後に向けると、例の千手柱間がのんきに「マダラよ、オレの文は読んでくれたか?」なんて言いながら笑っていた。 あー、ほら、やっちゃったよ千手柱間。 私はさっきから黙ってるマダラに視線を戻した。 するとさっきまでの恥ずかしそうにしていた黒い瞳は嘘のように消えてて、代わりに深紅の瞳がギラギラしていた。 おまけに身体が震えている、これは相当怒ってる証拠だ。 マダラは静かに私を木の側まで運んでくれて、そっと降ろしてくれた。 私がありがとうと伝えると、「ああ」と短く答えた。 その間にも千手柱間は私とマダラの方へ近づいてきた。 「はじめまして名前君、今日は君の誕生日らしいではないか、屋敷の者達に聞いたぞ!ははは…会ったばかりだが、オレからも祝いの言葉を言わせてくれ、おめでとう」 人の良さそうな笑顔でそう言った。 なんだ、思ってたよりいい人じゃない、…ちょっと空気が読めないけど。 私が頭を下げてお礼を言おうとしたら、マダラがついに声を荒げた。 「柱間ァ!!!」 「ぬっ!?ど、どうしたマダラ!」 「貴様だけは許さん…!許さんぞおのれァァ!!!」← 〜Happy Birthday〜 私の目の前で、豪火球やら木遁が舞っている。 屋敷に戻れば、私の使用人や部下、それにイズナ君やヒカクさん達うちは一族のみんなも、私の事を待ってるんだなあと思うと、なんだかおかしくて、うれしかった。 こんな賑やかな誕生日もいいな、なんて思ったと同時に これならもう、誕生日を忘れることなんかないだろうなと考えたら、なんだか笑みがこぼれてきた。 ※※※※※※※※ かっこかわいいマダラさん。 なんかいろいろすみませんんんorz 夢主はマダラさんの勝手な想いのせいで、手厚くもてなされているため 屋敷や使用人、そして護衛の部下がいます。 そんなマダラさんの熱のせいで、うちはの皆さんも 夢主をお祝いに来ています(笑) うちは家の屋敷では名前さんを嫁にすると騒いでいるらしいマダラさん。 誕生日のあなたに捧げます! ちなみに今日は私の誕(ry write,20100914 |