「ちょっと、朝霞くんいい?」


「え?ああ、速水さん…別にいいけどな「貴方の所為で私の高校生活ボロボロなんだけど」…いや、昨日のは別にその、抗議しに行くって知らなくて…」


昼休み、暑さも過ぎる今日この頃…涼しい図書室に涼みに行くか。とでも思えば声をかけられ文句を言われた。


ていうか何で僕謝ってるんだろう?
何かときつめに言われると謝ってしまうのは、僕の悪い癖だ。


「…いやでも、その僕も悪気はなかったよ」
「謝って済むなら、最初からしないでくれる?」


うっ、と息詰る。
この状況で言うのは無茶苦茶だが、この状況でなければ世間一般的には正論だ。
残念な僕の脳みそは到底言い返す術を知らない。


「はぁ。ま、別にいいけど。
どうせ、少しは討論になると思ってたし」


「えェ!?
じゃ、じゃあ今のやりとりなくても…「うるさい!」…うぅ」


ぴしゃり、と言葉でねじ伏せられた。
どことなく速水さんて笹田委員長に似てる。


「でもオトシマエは必要ね」
「え!?」
「…冗談よ、転校してきて二日目でそこまでしないわ」


「それに…まともに私と喋れるのなんて貴方くらいしかいないし」


「………なら、僕が誤解を解い「要らないわよ!余計なお世話」…そう、かなぁ」


フイッと反対を向き、拗ねてしまう速水さんに「ねぇ…」と声をかけようとしたところで、「修平!」と声。


「篤史…?いきなり大声出してどうしたの?」


きょとんとした顔をする僕の手を掴み、教室の外まで引っ張っていく篤史。


「ばっ、修平オマエなぁ…!
あの転校生はヤバいっつったろ!?」


「でも、僕はそんな風には…」


「こんのお人良しがっ!」


「だって…さっき話してくれる人がいないって言った時だって、どことなく寂しそうだったし…」


「そういう問題じゃないだろ?
もし、寂しそうなフリだったらどうするんだよ!」


オマエを味方につけようとしてるかもしれないだろ、と付け加える篤史に対し、そこまではないと思うよ、と返答する。


「…オマエはホント…」


「でも、いい子だよ?
篤史だって実際、話してみれば分かると思うよ」


ちょっと性格きつめかもしれないけど、と笑えば俺はいい、と遠慮された。
別にそこまで、巧妙で狡賢いって感じの子じゃないけどなぁ…。




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