9時10分を知らせるチャイムが鳴る。一時間目の開始を示すチャイムだ。


「…先生遅くね?
速水暴れてんじゃねぇの?」
「どうだろう…」
「しっかし、部活であそこまで暴れたら他のことでも暴れる気がしてならねぇ」
「部活で暴れたからって人まで判断するのは…」
「確かに人までは言いすぎかもしんねぇ。けど「うるさい!!!」うっ…」


「アンタ等黙ってりゃあぺちゃくちゃぺちゃくちゃ!
静かに自習も出来ないの!?少しは黙ってなさい!!!」


若干ヒステリックに怒鳴る委員長に、自分たち含め喋っていた連中は肩をすくめる。


「ホンット静かにしてよもうっ、こっちだって注意し「静かにしてよ」はァ!?」


ふらり、と昨日のように立っていた速水さん。
委員長は一瞬たじろぐも、遮らないで!とすぐに怒鳴り返す。


「でも、五月蝿いっていうのがこのクラスの言い分だと思うけど…」


小さめに溜息をつき、かたん、と音を立て席につく速水さん。


…このままじゃこっちに委員長の怒声がとんでくる。
斜め前の篤史が耳を塞ぎ、声に備えているのが見て取れた。


「転校生のくせに、代表気取らないでくれる!?」


「気取ってないけど」


「〜っ、アンタねぇ!!!」


不必要なほどに、委員長の逆鱗に触れる速水さん。
委員長は青筋をたて、それでもキレず意地を見せている。


「くおらァァァ速水!職員室に来い、今すぐだ!」


体育教師はずるずると速水さんを引っ張り、連行していく。


満ち足りた顔の委員長と、諦めの付かない顔の速水さん。
こうして無理やり、戦いは強制終了となった。


「速水怖ぇ〜…。
こりゃあ、腫れ物扱いだぜ明日っから」


そう言い放つ篤史に、やっぱり教師に部活動でたて突いたからって人まで否定されるのはどうかなぁ…と一人でに疑問符を浮かべるのだった。




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