次の日。
朝練の為テニスコートへ急げば、自分が寝坊し先に朝練に行っていた篤史が飛ぶようにこちらへやってきた。
「修平、転校生の速水がゴリラとタイマンしてるぜ」
「は?」
一瞬何をいっているか理解に苦しむ。 ゴリラというのは西条高校の柔道三段を持つ体育教師のこと。
自分が理解に苦しんだのは、速水さんが教師とタイマンしているということだ。
「やっぱ俺の踏んだとおりだったな…」
「でも、なん「くぉらァァァ、速水!!!転校二日で教師にたて突くとはいい度胸じゃワレェェェ!!!」…うるさい」
「どうして部活動への参加が必要なんでしょうか。 少なくとも北里高校では部活動参加は個人の自由だったんですが」
「…部活の話してんな。帰宅部になるつもりかよ、速水」
もしかして、昨日職員室に案内したのいけなかっただろうか。 激しい後悔により、嫌な汗が背中を伝う。
「篤史、朝練速く行こう!」 「何そんなに意気込んでんだよ…」
半ば篤史を引きずる形でテニスコートに行くも、顧問は来ておらず案の定速水さんの元へ行きなだめ役をかっていた。
「朝練出来そうにねぇな…」 「…だね」
「大体なァ、部活動に事情なしに参加しないということは青春時代を投げ打っていることと同じだぞ!!!」
「まーた始まったよ、ゴリラの自論演説。ああなると独擅場だよな。」
そう言って溜息をつく篤史。すっかり呆れ顔だ。
「修平おはよー、何があったの?」
「愛理おはよう。…転校生が体育教師ともめてる」
「転校生って、Bクラにきた…速水さん?」
「うん」
「昨日っから名前名乗んなかったりして怪しいんだよ」
「へぇ…謎の転校生って名目で新聞部に投函したらスクープになりそうな話題ね」
「ははは…それより、時間やばくない?」
「うおお、あと5分で遅刻扱いじゃねぇか!い、急ぐぞ!」
「うん!/ええ!」
・・・
教室に着けば、昨日以上に騒がしい教室。話題は勿論速水さんのこと。
さすがの笹田委員長も黙って何やら考え込んでいる。
もしかして、速水さん対策委員会設立とか言い出さないだろうか。
二年生のときに、不良の生徒に対し対策委員会やら対策本部やらを設立したことがある。…委員長ならしかねない。
どうなるだろう、と考え委員長が毎日ヒステリックに怒鳴り散らす様子が安易に想像でき、設立なんて言い出した際は篤史と共に反対しようと決意するのだった。
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