「そうだ! …速水さんもやってみる?」
「え…」
心底驚いた、という顔でフリーズする速水さん。
「じゃ、じゃあ」 「了解! 星座と誕生日教えて」 「…星座はみずがめ座」
「あ!」
先程の「あ」の意味が自分と同じ星座であったことに気づき、速水さん同様に「あ」と言ってしまった。
「誕生日は、2月6日」 「ありがと! …よし出た…あ、星五つだ! えっとね、今日はスペシャルラッキーデー!何をやっても上手くいく日。特に恋愛がとんとん拍子。だって!」
よかったね!とにこにこしながら言う愛理に、速水さんがありがとう。とぎこちなくだが笑った。
「…そういえば愛理、今日何でこんなに人数が…」 「そう言われてみれば…」 「ってことは知らない?」 「…うん」
申し訳なさそうにいう愛理に、こちらまで申し訳なくなる。
「あ、もう時間ないんじゃ…」 「わわ、あとちょっとしかないし!速水さんありがと!」
お礼をして小走りで教室に滑り込む愛理を見つつ、改めて速水さんって理不尽でも悪い子じゃないよなぁ…と痛感する。
なんだか、周りのイメージの所為で歪んで見えるんじゃ…とすら思う。
「ねぇ、速水さん」 「なに?」
「やっぱり、笑った方がいいよ」
「へ?」
「笑ったらイメージ変わるとおもへぶっ!」
油断していた。問題なくボールが飛んできた。
「余計なお世話だって、昨日言ったじゃない」
両手をパンパン叩きながら僕を見る速水さん。
何でバスケットボール持ってたんだろう?なんて疑問がわくのはまだ先なのだった。
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