ひばりいじり2


ギシギシギシ!

縛られた足で精一杯に暴れるもんだから、保健室の簡易なベッドがしまいには壊れてしまいそうだ。
ツナはやっぱり弱った風な表情で雲雀の両脚を跨いで馬乗りになった。

「暴れると、手首が痛いでしょ?すぐ終わっちゃいますから、大人しくしててくださいね」

「さ、さわだつなよし…っほんとに、そ…そこだけ、は。ほ ほんとに いやだ…」

切羽詰まった口ぶりに、ツナはズボンとパンツを脱がそうとした手を止めた。

「上はいいのに、下はダメ、かぁ…」
「上はいいなんて、僕は一度たりとも言ってないよ。なんでもかんでもメモるのもやめろ」

ツナの手が止まったことに、少し安心したのか、高飛車な物言いに戻る雲雀がちょっと面白い。

「いいかい?今なら咬み殺す程度で許してあげる。…早くロープをほどきなよ」

(ひばりさんて、奥が深いひとだな)

胸をはだけられ、ズボンを下げられる寸前でも、矜持を高く保つことを忘れないのが雲雀だ。

感服しつつ、ツナは雲雀のズボンをパンツごと一気に引きおろした。

「っっ………?!!」

**

(あぁああ!!)

絶望感に満ちた叫びは声にならなかった。
不意をつかれた形で下肢を膝まで裸に剥かれてしまった雲雀は、目だけを限界まで見開いて、あからさまになった自分自身を見る。

「……なんか、ひばりさんって、キレイなんですね」

はじらった様子の沢田は雲雀に跨って、余すことなく雲雀の裸体のすみずみを見下ろしてくる。
手でそろりそろり、腰骨を撫でられて思わずからだが震えた。

(なんで ぼく、こんな目に……)

意図がまるで読めない変態に触れられ、全身が強張ったせいか、勃起しかけていた性器はちからを失ってしぼんでしまっている。


**

(あ、ひばりさんのおちんちんが、くったりしちゃってる)

よく観察すれば、雲雀は細かく震えていて、恥辱のあまりか切れ長の漆黒にはうっすら涙が溜まっていた。

(すごい、あの怖くて強いひばりさんが、普通の男の子みたいだ…)
(涙目。記念に撮ろう)

無表情でカメラを構え、1、2枚雲雀の顔をアップでおさめ、ツナはそれを保存する。


裸に剥いてしまえば何てことは無い、肉付きのうすい、華奢なからだだ。
あんなに強いんだから筋肉もガチガチについてさぞ色気のない裸なのだろうかと思いきや。

(うん、しろくって、産毛が薄くって、)

「っ……、あ、…」

雲雀が息を飲んだ。
ツナの指が、雲雀の股間に生えたふわふわの毛を撫でたからだ。
ほんの申し訳程度にそこを守る、薄い体毛。

「ええと…ちょっと聞きたいんですけど…」


「ひばりさんって、エッチ、した事あります??」

**

プライバシーの大侵害だ。
沢田の馬鹿な質問に答える義務などありはしない。

このタイミングで聞かれるのもかなり不愉快だ。
沢田は雲雀の目を見ずに、雲雀の局部をしげしげ見つめている。

黙ったまま睨み続けていたら、気づいた沢田がニコッと微笑んで、例のメモ帳に書き足した。

「ひばりさんは、悪ぶっているけれど、童貞」

(最悪だ)
恥ずかしくて死ねそうだ。
だが自分でも呪わしい程打たれ強い体躯は、どくどくと脈動を増すばかりだった。

「どう、ていじゃ…」
「嘘つき。こんな桃色の、可愛いおちんちんしてるくせに」

鉛筆の尻で萎えた性器をチョイと上向かせ、沢田が言った。

「もしかして、精通、まだだったりします?」
「馬鹿にしないでくれるかい?そのくらい……」
「自慰はちゃんとしている模様」
「!?……」

(僕、余計なこと、…)

「童貞なのに、精通済みってことは、ひとりエッチしたってことですよね!」

「ね!?」
沢田が嬉しそうに念押ししてくる。

(し、てるけど……)

雲雀も年頃で、溜まるものは溜まるし、回数はほんの数回程度とはいえ自分で処理をしている。
至って普通のことなのに沢田に揶揄され、自慰中の背徳感やそれに伴う淫靡な快感をも思い出して、いたたまれなくなった。

「ひばりさんでもひとりエッチしてるなんて、なんか嬉しいってゆうか…俺、想像するだけで萌え死ねそうです」

(僕は恥ずかしさだけで死ねそうだよ)
雲雀はいよいよ気が遠くなり始めた。

**

しかし、何時までも辱められっぱなしではいられないらしい。
てっきり戦意を喪失したかと思っていたが、ツナの下で、雲雀は引きつったくちびるを無理矢理笑みの形に吊り上げる。

「きみだって、」
「はいっ?」

「ひ、とのこと、言えないんじゃないの?僕を見下していい気になってるみたいだけど、どうせきみもよく似たものでしょ…」
「……」

ツナは(ひばりさんがなにか言ってる)と流しつつ、恐るべき不良の性器を琥珀の大きな瞳でたっぷり視姦したあと、当然の事のように、その部分を携帯のカメラで撮影した。
『ピピッ……カシャッ』

「っ、何撮ってんの?!僕の話は無視かい!?」
雲雀の抗議は猛烈だった。
ツナが跨る下肢がドンと突き上がり、ツナの視界が揺れる。

「ひぃ…えっ、あ、なんの話してましたっけ。童貞ってことですか?それとも、雲雀さんのココがびっくりするくらい、ちっちゃいってことですか?」
「沢田綱吉…それ消しなよ、今撮った写メ!今すぐにっ」

雲雀がまな板の上の鯉さながらに暴れるのでツナのからだはまるでロデオに乗っているように揺れる。

(うわ、うわわっ、これスゴい、スゴい揺れ!)

だがあんまり心地よいものではない。

「ちょ、ひばりさ、激しすぎ」

転げ落ちるかも、と思った時には、ちょうど良く手の近くでぷるり、ぷるんと跳ねていた雲雀の性器を掴んでしまっていた。


**

「うぁ!?」
前触れもなく急所を鷲掴みにされ、雲雀は素の悲鳴をあげる。

「……握りつぶされたくなかったら、じっとしてください、ひばりさん」

「ボス命令ね!」
満面の笑顔は幼くて、それだけに不気味だ。

「……」
変態の手の中に囚われた無力な自身に哀れみの情が湧いてくるが、ほんとうに可哀想なのは雲雀本体だった。

「沢田、綱吉…なに、を…?」
「一通り観察も終わって準備が整ったので、このまま、ひとつ目の実験開始です!」

(僕のアソコを握って実験、だって…?)

何が起こるか全く理解出来ていない雲雀に、沢田はにひひっと歯を見せ、いつの間にやら取り出したストップウォッチのスタートボタンを押した。

「…え………っ、……ぁあ!?」

整然と並んだゼロから、次々に変わる数字の羅列。
進むストップウォッチの時間。
なんと。それと同時に、雲雀自身を握る手が素早く上下に動きだしていた。

「なっ、や…やめっ!」

(こ、擦られてる!)


**

呆気にとられている雲雀のソレを右手で掴み、全力をもってしごく。

(てぃやぁあああああッ!!ひばりさんを死ぬ気でイかせるーーッ!)

ストップウォッチは只今、22秒23秒24秒……
早くも、ピンクの肉は熱を持ち始めた。

「あ、っひ…!?…っ…」
非難の文言も告げられずに、雲雀はかぶりを振った。

(ひばりさんがイくまで、何分かかるのかな)

こんなちっぽけなものを擦られるだけで、頬を真っ赤にし、からだは弓なりになるなんて、男というのはやっぱり切ない生き物だと思う。

「さ、わッ…」

手の中にある雄の証が、摩擦熱とは別の原因で温もってきているようだ。

「ぅ、…〜〜、!」

「あと何秒もちそうですか!?もう出そう?出そうですかっ?」

「ひ、や、ッゃぁ、っ…こ………」
「っえ??冷ややっこ?」

(なんなんだ冷や奴って!?ひばりさん不思議ちゃんすぎますからー……!)

**

実際、雲雀が口にしたのはもちろん冷や奴ではなかった。
『やだ、やめろ、殺す』
さっきから自分でも飽きるほど繰り返していた言葉を沢田に叩きつけたかったのだ。

しかし、くちびるから絞りだしたそれは耳を覆いたくなるような喜悦に満ちたかすれ声。

(もう何も、言うもんか)
歯を食いしばり、眼光の鋭さを根性で保つ。
聖域たる並中で草食動物一匹に雲雀が屈服するなどあってはいけない。
いけないのだが……

「は、う、ぅ、」

痛みや猛毒に負けることは一度もなかったのに。

(それなのに)

ダメツナの指で、性器にイタズラされて、その上強制的とは言え射精させられてしまいそう、なんて。

「ひばりさん、聞こえます?」
耳元で囁かれた言葉。
なにをさしているのかすぐに分かった。
沢田の盛んに動く指に合わせ、クチュッニチュッと水っぽい音がする。
下肢から響く卑猥な音が更に雲雀を追い詰めた。

ただ乱暴に擦るだけではない意外に繊細な指先。
雲雀のやわい皮膚で包まれた肉茎を強く弱く、激しさとゆるやかさを織り交ぜてしごく。

達してしまいそうだと絶頂を覚悟した瞬間には愛撫が優しくなり、ともすれば、物足りないような気持ちにさせられるのだ。

「俺の手、ひばりさんが洩らしたお汁で濡れてますよ?気持ちいいんですね!」

「ひとりエッチじゃなくて、ひとの手でされるの方が、お好きですか?」

「………く、……ッ」

(あぁあ……もう、だめっ、だめ、だ)

沢田のからかったような口振りにすら感じて、性器に甘い快感が走った。
(な……に…この気持、ち)

「!…んんんっ〜〜!!!」
ぶるり、雲雀のからだが大きく波打つ。

イきたくない、イきたい、理性と欲望のせめぎ合いに十二分に耐えた雲雀は、最後は敏感になりきった竿先を指の腹で強めに刺激され、たまらず淫水を噴き上げた。


**

ギシリ、と。
雲雀の形よい肢体がベッドのうえでバウンドするのに合わせて、安いパイプが軋んだ。

「……ぐ、……ア、ぁ…」
恥辱に歪んだ顔で欲液を発射する彼の気持ちは一体どんなものなんだろうか。

目元の紅潮や、噛みしめたせいか普段より赤いくちびるが扇情的だ。

「は、はっ…はぁ…」

掴んだソレはびくびくして熱くて、吐き出し終わった後もなお、硬さを残していた。
一拍おいて、ふと気づく。

(あ!?)

ツナは慌ててストップウォッチを止めた。

「雲雀さんがふにゃふにゃの状態から、イっちゃうまでの時間は、3分40秒53」

「……」
「カップラーメンより、長かったですね?」
「……」

雲雀の視線がうつろに宙をさまよっていたが、徐々に焦点があって、くちびるをきゅっと結び直すとツナをやはり、にらみすえた。
まだ毅然とした態度はくずれない。

(すごい…雲雀さんの精液で手がべちょべちょだよ)

ツナは満足そうに納得し、手を拭こうと鞄を覗いてティッシュを探った。

**

見た目だけは小動物のように可愛い変態が鞄を片手で漁っている、おぞましい光景……

「てぃっちゅてぃっちゅ…あれ、忘れた?」

「ひばりさんティッシュ忘れました」

悲しそうな変態の言葉に、机の上にあるティッシュの箱を、反射的に見てしまった。

雲雀の目線を追った沢田はぺこりと小さなお辞儀をしてティッシュで手を綺麗にする様子に雲雀は内心、舌打ちをせざるを得なかった。

沢田は再び鞄に近づいて中から何かを取り出す。

「……」

「鞄の底から良いもの出てきました。あのね、最初、携帯で写メるの思いつかなくて、ひばりさんを見ながらスケッチしようと水彩の道具を用意してたんです。結局、重いから家に置いてきたんですけど…ほら、筆。入ったままになってました」

沢田が手にした、二本の絵筆。
一本は細い面相筆。
もう一本は広い部分を描けそうな太めの筆。

(……だからなに?)













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