CLAP THANKS
永遠のライバル
ダメツナvsヒバード








沢田には気になることがあった。

応接室での食事中…

雲雀が黙々と草壁手作り弁当を食す、その黒髪の上でこちらをジッと見つめてくる小鳥。

最近いつもこうだ。

つぶらな瞳に、沢田は落ち着かなくなる。
奈々の愛情弁当も喉を通らない。


「………ひばりさん」

「なんだい」

「なんか、ヒバード…おれを睨んでるみたいなんですが」

言うと、雲雀は心底意外そうに目を見開いた。

「気のせいだろ…見てるだけだよ」

見てるだけ?

沢田は恐る恐る小鳥――ヒバード、を見返した。

「!」

ヒバードはこんなに吊り目だったろうか?
小さな小さな愛くるしい姿からほとばしる敵意を確かに感じる。

(やっぱり睨んでるんですけど!)

「エサ!エサ!」

「うわっ」

突如、事態は動いた。
ヒバードが羽ばたき、沢田の手元に降りたかと思うと迷いなく海老フライを攫い窓から飛び立ったのだ。

「あああ!オレのっオレの海老フライ!!」

思わず窓に走り寄ってヒバードを探した沢田…ヒバードはもう既に高く舞い上がり、海老フライはかの小鳥のものとなった………

「ひどい!見ましたか、ひばりさん、ひどい!」
「そりゃ、見たさ。目の前の出来事だからね…」
「ヒバードやっぱりオレを嫌ってます」
「海老フライが欲しかっただけでしょ」

沢田がこんなに打ちひしがれているのに、よくもしれっとした顔でお弁当を食べられるものだ。

「海老、フライ…」
「仕方ないね。僕のおかずをあげるよ」
「トマトはひばりさんが食べたくないだけでしょ!」
「文句あるの。…じゃあ、これも」
「にんじん!!!」

とにかく、この日からヒバードと沢田は相容れない存在となった。


**

「はー、やっと補習終わったぁ…ちょっと応接室で休んでこうかな」

うまく草壁がいる時にお邪魔出来れば、雲雀とのティータイムと洒落こめるかも知れない。
だるそうに肩のコリを片手でほぐし、沢田は応接室に向かおうとした。


その時。

あたまに何かがポスンと乗った。

「ダメツナ!ダメツナ!」
「いたっ、痛い痛い痛い!」

ふわふわの茶髪を嘴で毟ろうとする存在。
見なくてもわかる。ヒバードだ!

「ダメツナ!ダメツナ!」
「こらっなにすんだよーっ」

全力で振り払う沢田と、頑ななヒバードの戦い。

「やぁ…なにじゃれてんの?」