face="MS P明朝">好きな子ほど
「サークラちゃーん!」
清々しい笑顔で手を振りながら走ってくるナルト。
サクラはため息をつきながら走ってくるナルトのそばに残念なイケメンがいないことに気づいた。
「ねえナルト、サスケ君は?」
「サスケなんか知らねぇってばよ!」
「…なんかあったの?」
「いや、特には」
ナルトの返事にずっこけるサクラ。
サスケがまた何かやらかしたのかと考えていたのにそれはまた違ったようだ。
「なんでサスケ君のこと怒ってるのよ」
「怒ってるわけじゃないってばよ…。ただ、からかってくるのが嫌なだけだってば…」
頬を膨らませて不機嫌そうな顔をするナルトを、不覚にも可愛いと思ってしまったサクラはサスケの手伝いをしてあげようと微笑んだ。
「サスケ君はナルトが嫌いだからからかってるんじゃないのよ?」
「じゃあ何でからかうんだってばよ?」
分からないというように首を傾げるナルトは犬のようで可愛らしい。
恋愛に対してうとすぎるナルトには、サスケの行動が分からない。
しかし恋愛に生きているようなサクラにはサスケの行動が愛あるからこそのものだと分かっていた。
「ナルト、好きな子ほどいじめたくなるって知ってる?」
「分からないってばよ」
「サスケ君はね、好きな子ほどいじめたくなるってやつになだけなの」
「…サクラちゃん、俺ついていけねぇってば」
なんとなく理解してはいる。それでもそれを「ああ、そうなのか」と頷いてしまったら自分の中の何かが壊れる、そんな気がナルトはした。
そもそも恋愛は男と女でするもので、男と男でするものではないはず。
「ま、サスケ君に気持ちを聞いてみるのが一番ね」
ほら、噂をすればなんとやら。
とサクラが指を指す方向には黒髪の少年、サスケが走ってこちらに向かっている姿があった。
「ナルトはサスケ君のことどう思ってるのよ?」
「………」
サクラの問いに走ってくるサスケを見て黙るナルト。
よく自分を構うサスケ。
天才の血を引きながら努力をするサスケ。
自分を分かってくれるサスケ。
「…俺は、サスケのこと嫌いじゃないってばよ」
ナルトの言葉に、サクラは優しく微笑んだ。
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サスケは友達なナルトさんとサスケを応援するサクラさん
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