face="MS P明朝">道標
誰が生まれようが、誰が死のうが、その人を知らない人には関係ないことであって。
「俺達にだって…」
関係ないはずだったんだよな?
投げ掛けられた言葉に、目の前にいた少年はただ黙っているだけだった。
「どうして、俺達を知らない奴らにまで罵られなくちゃいけねぇんだ」
少年の頭に浮かぶのは先日、見ず知らずの男達に殴られ、蹴られ、怒鳴られたことだった。
少年達には、それがわからなかった。
少年達のいた地域は、少年が生まれ育った場所とは全然違うところで関わりもなく被害だってなかった筈の場所。
「なぁ、我愛羅…。俺、もう駄目かもしんねぇ…」
空のように澄んだ瞳が、揺れる。
今にも溢れてしまいそうな涙に、赤色の少年は金色の少年を抱きしめた。
壊れないように優しく、それでいて、強く。
「…ナルト、お前には俺いる。だから心配するな、いつだって俺は…」
いい終える前に、金色の少年が赤色の少年の身体を震える腕で、抱きしめた。
信じられるのは、いつだって一人。
そう思いながら少年達は、疎まれ続ける人生を歩んできた。
「ありがとう、ありがとう…」
足元を照らして導いてくれる光は、ただ一つ。
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初めての我ナル
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