愛してる。

愛してる愛してると連呼しているとシズちゃんは不機嫌そうに黙れと一喝した。それに仕方なく黙ると満足したかのようにタバコを吸い始める。

「俺を愛してる?」
「愛してる」
「本当に?」
「それ、昨日も聞いただろ」

だって心配なんだよ。君ってば外見は良いからモテるしいつか…捨てられるんじゃないかって思うと居たたまれない。
シズちゃんは俺の。俺はシズちゃんの。その公式が変わってしまわないように俺は毎日愛を囁く。

「俺しか見ないで」
「…なぁ臨也」
「なぁに?」
「もし、俺が他の所に行ったら…お前はどうすんだ?」
「…愚問だ。君を他の奴に会いに行かないようにすれば良いだけの話」

不思議そうに振り返って来たシズちゃんに俺は笑いながら小指を立てる。

「指切り、しようか」
「あ?」
「いいから」

渋々といったように小指を立てたシズちゃんに笑いかけながら俺は後ろに隠してた裁ち鋏を右手に持つ。

「…?」
「指切りだよ。“指切り”」

ニコリと笑うとシズちゃんは意図が掴めたのか指を引っ込めようとしたのを腕を掴んで阻止する。

「っざけんな!手前えおかしいんじゃねぇのか!?」
「おかしくなんか無いよ。俺を愛してるなら指切りしよ」
「っ…」
「愛してないっていうなら…このまま君の内臓を抉って永遠を誓うから」

ね?と首を傾げると覚悟したかのように小指を立てて来た。ああ、俺を愛してくれてるんだね。嬉しい、嬉しい嬉しい。
小指を絡めて裁ち鋏を持ち直す。

「愛してる」
「ああ」

指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます


指切り
(指切ったっ!)


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