――イザ兄が居なくなったせいで、ママは死んじゃったんだよ!!



「……嘘、だろ」

あのあと、結局追いつけられても困ったので頭を冷静にしつつシズちゃんの家…いや俺たちの家に帰った。おばさまが笑顔で迎えてくれて俺たちは手洗いうがいを済ませると荷物を二階に運んだ。しかしどうも俺は気分が湧かないので申し訳無かったがあとで一階に行くと言ってシズちゃんの部屋で一人、マイルが言った言葉に耐えていた。

母親が、死んだ。

葬式はしたのだろうか?
俺が呼ばれなかったと言うことは、折原との関係が切れてるからだろうか。
分からない。
あの人は…何で亡くなったのだろう。
マイルは俺のせいだと言った。
居なくなったからだと。

「……母さん」

小さく呟いて、俺は一階へと降りた。ウジウジしてても仕方ない。いずれ分かる。

「あらイザくん!大丈夫?」
「はい、大丈夫です。すいません」
「良いのよ!旅行は楽しかった?」
「はいっ!とっても」

椅子に座りながら三人で旅行での話をして盛り上がって、お腹が減ったのでおばさまがご飯を作ってくれて。久しぶりのおばさまの手料理は美味しかった。

「八つ橋美味しそうねぇ」
「いっぱいあったよな」
「う、うん」
「そうなのー」

あそこを回った、あそこは綺麗だった、ホテルでこんなだった、など話していたらふとテレビニュースが殺人事件の報道をしていて画面には見覚えのある家がうつる。

「――!!」
「臨也?」

声にならない悲鳴と共にアナウンサーは言う。

『一昨日の夜、折原四郎容疑者が妻の響子さんを殴りつづけ死亡させた疑いで昨日、逮捕されました。本人は「息子を響子が逃がした」「だから殴り続けた」と犯行を認めているとのことです』

四郎と響子は確かに両親の名前だ。そして写された家も確かに俺が住んでた家だ。
暴力のせいで母親が死んだ…?
俺が居なくなったせいで母親が殴り続けられて死んだ…?

『警察は今、容疑者の息子を探すとのいうことです』

その言葉に思わず体が跳ねた。俺を探す…父親はこの場所を知っているしマイルたちも下手をすればテレビで写される。
確かにマイルが言った事は確かだ。俺が居なくなったせいで母さんは殺された。あの父親なんかに。
このままじゃ、この人たちに迷惑をかけてしまうことになる。

「あの…俺、」
「何も心配すんな、臨也。お前はここの家族だから折原とは関係ねぇだろ、ごっそーさん」
「シズちゃん…」
「まあ、警察が来たら素直に話なさい。それで折原とは無縁です、て言えば良いのよ。あんまり自分を責めないでね」
「おばさま…」

平和島家の家族になれて良かった。
もう迷わない。
ちゃんと母親たちの事で決着をつけよう。

「おばさま。俺…警察署に行って来ます」
「イザくん?」
「大丈夫です。折原家と決着をつけるだけですから」
「……そう。気をつけて行くのよ」
「はい」

養子になったわけでも無いけど、俺は平和島家の家族だ。折原家とは無縁。このまま隠れてたって警察はいずれこの場所を見つけて来るんだ。そしたらマスコミだって押し寄せるかもしれない。その前に警察に全てを話す。

「臨也」
「あ、シズちゃん」
「俺も行く」
「……ありがとうっ」

俺たちは、最後に向かって歩いた。
























四郎と響子の名は全テから。
こんな両親じゃないのですがね…

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