ああ愛


キスするのも、こうやって体を重ね合うことも、全てを愛と名付けるならば俺達はそれに等しくは無い。
全てが遊びではじまり、遊びで終わるこの関係をズルズルと先伸ばしにしても良い事なんかありゃしない。そう互いに分かっているのに断ち切れ無かった。

高校だけの関係のはずが、二十三になった今でも続いている。

「……そろそろ、」
「あ?」
「…何でも無いよ」

ただの性処理。
会えば喧嘩かセックス、そのどちらしか無い。終われば無言で彼はシャワーを浴びて少しタバコを吸って帰って行く。そんな意味もない関係。

相変わらず、どちらも別れを切り出さない。それはこの関係を辞めたくは無いのか…それとも、性処理相手としてありたいだけなのか。
俺はどちらかと言うと関係を辞めたくは無い。それは、醜い感情に気付いてしまったから。

「今日も…帰るの?」
「ああ」
「…明日は、来る?」
「…さあな」

この関係は自然消滅したっておかしくはない。何日も抱きに来ないときもあったし、それでも来ると何も言わずにベットに押し倒してくるだけ。
俺は……自然消滅が怖い。
抱いて貰えなかったらどうしよう、という不安ばかりだ。

シズちゃんを独占していたい。
俺の身体じゃなきゃ満足出来ないと思わせたい。
キスもセックスも全てが俺相手じゃないと駄目な奴で居てほしい。
その感情らを名付けるならば「恋」と言うのだろう。

「シズちゃん」
「……今日は口数多いな」
「うん。いっぱい君と喋りたいんだ」
「…気持ちわりい」

ベットの中に潜っていた俺は起き上がり、背を向けていた彼の肩を掴むと無理矢理に振り向かせて乱暴にキスをした。

「…ねぇ?気持ち悪いなら、気持ち良いこと…しよ?」
「さっきシただろ」
「足りないよ。もっと君で満たして、君で俺を…愛して」
「…このクソビッチ」

このままの関係が終わりを告げるなら、俺は終わらないようにしてみせよう。彼が本当に俺を愛してくれる日が来るまでは。





(あったかい)







ああ、


もっと 深く あいして

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