「どういうことなんだ!!」

俺は今、誰も居ない屋上に居る。俺の目の前に居るのはこの間、一年だと言うのに立候補者として壇上に立った生徒。

「話が違うじゃないか!!」
「なにがさ?俺は君が望んだとうりにしてあげたよ」
「ふざけるな!じゃあ何故僕は当選落ちしたんだ!」

今にも胸ぐらを掴みそうな勢いで怒鳴り散らす相手に俺はため息を吐いた。

「勘違いしてない?」
「何がだ」
「君は言っただろ。『立候補出来るようにしてくれ』って、だけど『当選出来るようにしてくれ』までとは言わなかっただろう?」
「……」
「言葉はちゃんと選んだ方が良いよ。俺は言われた事しかやらないからね」

俺を心底憎むように睨まれたが無視をした。最後まで言わなかった君が悪いんだよ。

「…くそっ」

そう吐き捨てた相手は乱暴に屋上から続くドアを閉めた。
何怒ってんだか。
自分が悪いくせに。
俺は裏で手を回して立候補者にさせてあげた立場なのにさ。まあ彼も愛する人類の一員としてそんな問い詰めたりしないけど。

「…さぁて。今日もシズちゃんを誘ってどっか行こうかなあ」








放課後になると、全生徒が急ぐように帰ったり部活に行ったり、教室でしゃべったりしていた。俺もシズちゃんを誘って何処かに行こうとすると、さっきの無様に逃げたやつが俺の傍にやってきた。

「これから少し時間無いか」
「やだなあ。そんな怖い顔して、今からは帰るからまた今度にしてくれない?」
「今すぐにだ。すぐ終わる。別の依頼を頼みたいんだ」

へえ…また別の依頼ね。
なんだか面白そうで三十分ぐらいなら良いよ、と言うと彼は無言のまま俺から背を向けて歩き出した。
ついてこい、ってか。

(シズちゃん、帰らないで居てくれるかなあ…)


「ん?臨也は?」
「さっき誰かと出て行ったみたいだけど…面倒だから帰っちゃう?」
「……」
「静雄くん?」
「…いや、俺はあいつ待ってる」
「そうかーなら僕たちで帰ろうか」
「ん?ん…」
















ガシャン!とフェンスに身体を押さえつけられる。誰も居ない体育小屋裏で俺はこの男と、数名のヤクザに絡まれている。こうなるのは分かって居たけどちょっと油断したかなあ。

「何?腹いせ、てやつ?」
「いいや?別の依頼を頼みたいだけだよ」
「ふーん。じゃあもったいぶらないで教えてよ」

男はニヤニヤしながら俺の顎を掴むと無理矢理あげられる。いた、

「お前。明日から平和島静雄を避けろ」
「……は?何それ。依頼じゃ無いじゃん」
「それでアイツがどんな反応するか俺に教えてくれ。これが依頼だ。もし一言でも話すような事があればアイツを殺す」
「シズちゃんには無駄だと思うよ?」

あんなの、人類が滅びない限り死なないって。

「まぁ死なないなら…そうだな。君を使って脅して…それから海に落とすか。それが良い。それか岸谷とか門田を使うのも有りだな」

俺はシズちゃんにとってそこまでの価値は無い。でも長い付き合いの新羅とかに危険が及んだらシズちゃんはきっと悲しむ。そしたら余計に俺はシズちゃんに嫌われるだけ。
嫌だな。それは。

「……何日間そうしてれば良いわけ?」
「明後日までで良い」

随分と短い期間だな…。二日ならシズちゃんもそんな傷付かないだろうし。いいか。終わったら散々凝らしめてやろう。覚悟してろよ。

話はそれで終わり帰ろうとすると、教室にはシズちゃんがいた。だけどアイツのルールで一言も声をかけちゃならないから無言で通り過ぎる。

「おい?」

無視無視。
ごめんね。

「…おいってば」

待っててありがとう。て言いたいのに言えない。鞄を持つとそのままシズちゃんを無視して廊下に飛び出すと、追い付かれないように走って昇降口に向かった。

ちょっとの辛抱だから。

明後日には、マックとか行こうね。

久々の一人帰りは味気なくてつまんなかった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -