待ちに待った放課後がやって来た。俺は適当に荷物をまとめてからシズちゃんの近くに駆け寄る。

「シズちゃん、今日もどっか行かない?」
「…わり、今日はちょっと…」

家の用事かな?
だったら何でそんな歯切れの悪い返事をするんだ?

「…そっか。じゃあまた明日ね」
「ああ悪いな」
「良いよ」

ニッコリと笑って軽く手を振ってから教室を出る。
さてどうしようかな。と考えて居たら「折原くん」と後ろから声をかけられた。

「君に、頼みたい事があるんだ」






















ああ。人間って面白い。

これだから人間は好きだ。外形は優しく他人の悪事をほっとかない優等生でも、内心は全く真逆だったりね。その反対もだ。外形はチャラチャラしているくせに、内心は心の優しい持ち主だったりする。シズちゃんは最後のに当てはまるかな。

暗くなりつつある空を眺めながら校舎から出ると、今帰り途中なのかシズちゃんが歩いていた。

「あ。シズちゃん!」

そう名前を呼びながら駆け寄ると、シズちゃんはボロボロになりながら振り返って来た。まあ正確にはシズちゃんの服が、なんだけどね。

「手前…先に帰ったんじゃ無かったのかよ…」
「いや、仕事が入ってね。君の用事って呼び出しだったんだ?」

彼は視線を落としながら小さく「あぁ」なんて呟いた。
たぶん、彼は優しいから昨日みたく巻き込みたく無かったから何も言わなかったんだとは思うんだけど。そういうところ、俺は好きだな。

「良いよ、どんなシズちゃんでもシズちゃんには変わり無いんだし。ね、このあとどっか行こ」
「…そうだな」

やっと笑ってくれた笑みに、俺も何だか温かくなって夕日を背に何処に行こうか?なんて呟きあった。







次の日。生徒会決めがあり、俺たちは体育館に集められた。それからあーだらこーだら、立候補者たちがベラベラ喋っていたが、俺は呆然とその姿を見ていただけだった。

一年立候補者には、誰もが驚愕の声を上げていたけど。

生徒会に入れるのは二年からだ。一年からの立候補者なんてあり得ないはずだったが、確かに目の前には立候補者が居る。メガネをかけて、いかにも優等生な青年が、ね。

そういえば昨日言った話、覚えてる?人間、外形は優等生だけど中身は悪だったり、外形はチャラいけど中身は善だったり。ていうの。
彼はそのうちの始めに入る。外形は優等生なクセに、中身は最悪だ。生徒会に立候補して入れるようにしたい。と昨日俺にお願いして来た。「頼むから立候補出来るようにしてくれ」てね。もちろん金も貰ってるし、彼の願いは叶えてあげるよ?

(でもひとつ、君はミスをした)

重大なミスをね。










あの長い話が終われば選挙みたく当選がはじまる。全生徒が誰がいいか名前を書いて箱に入れるのだ。
それが終われば解放される。

「何だか面倒だったね」
「新羅は誰に入れたの?」
「二年の人。さすがに一年は入れないよ」
「ああ俺も」

ここに居る四人は二年のようだ。クラスの噂からにしても一年に入れた人はほぼ居ない。それもそうだ。原則は二年からなのだし。

「さて帰りにマック寄ろうよ」
「臨也にしては良いこと言うね」
「死ねメガネ」
「だからいがみ合うなって…」
「シェイク飲みてぇ」
「じゃあ行こう行こう」

シズちゃんの腕をひきながらそそくさに教室から出て行くと、後ろから新羅とドタチンも追いかけてきて、まるで追いかけっこみたいにいつものマックに向かった。

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