ひとりぼっち



本当は大好きだと、そう素直に言えたならこんな残酷な結末には為らなかったのだと思う。俺の家の中は昨日とは比べものにならない程に静かになり、二つあったマグカップも、二つあったパジャマも、二つあった歯ブラシも、今は一つしか無い。
もう一つは、欠けてしまった。

ごめんね ありがとう

そう伝える相手も今は居なくて。
ちっぽけな空間に置いてけぼりな俺は、まるで小さな子供みたく踞る事しか出来なかった。

「会いたい」

口に出しても虚しいだけ。


会いたい


会いたいよ


どんなに心で願っても君が俺の隣で笑いかけてくれるなんてない。
棚に置いた写真も燃やされて無い。
高校時代の思い出も、まるで俺の中から自分の存在を消すかのように無くしてしまった。

君はそれで満足できるの?

「ばか。会いたい、会いたいのに」

――肝心の君が居ないじゃないか。


今君は何処に居るの?
池袋を離れて、何処か遠くに行っちゃったの?
俺を置いて行かないで。
一人にしないで。
もっともっと、君に甘えさせて。
この感情を上手く伝えなかった自分を恨んで、俺は小さくため息を吐く。




今でも俺を愛してる?




愛してるなら、

早く迎えに来てよ。



(ひとりぼっち)



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