お前でよかった
※大人
※微裏?
ある日の夜にケータイから電話がかかってきた。わたしは仕事でミスをしてイライラしていた、わたしは誰からの電話かを確認しないで無愛想な声で電話にでた。
「なに」
『あ、やっとでたか』
「え、は、不動か。なんで電話かけてきたんだよ」
『別にかけたっていいじゃんか』
「…なんなの」
『玄関開けてみ』
わたしは不動に言われたままに玄関に行きドアを開けた。そこには不動がケータイを耳に当てながら立っていた。
「よ、久々」
「あんたバカ?電話するくらいの距離じゃないじゃない」
「照れるなよ、忍」
「きしょいわ」
とか、中学生の口喧嘩みたいなことを玄関でし、不動は勝手にわたしの家に入ってきた。そう言えば不動てあたしの家に来るの初めてだっけ。それよりこいつはなんでこう堂々と人さまの家にずかずかと上がれるもんかな。
「あんたさ、ここ、あたしの家」
「だから?」
「改まれよ!」
不動はハイハイと言ってソファーに座り、テレビをつけた。あんたは同居人かよ。
「小鳥遊お腹すいたー」
「うるさいニート」
「ニートじゃねぇよ、サッカー選手様と呼べよ」
「様てなんだよ、様て」
そう言い、わたしは不動の隣に座って不動とテレビを見始めた。テレビを見てる間はあまりしゃべらなかった、違う、しゃべれなかった。久々すぎてなにを話したらいいのか分からなかった。
不動はサッカー選手として世界を歩き回っている。不動は自分にあうサッカーチームを探しているのだ。そんな歩き回っているくらいなら自分がチームに合わせればいいのに。
本当にバカ、神級のバカ。
不動は面白い番組はないかとチャンネルを一つ一つ変えていく。
一つ一つ変えていたら、いつのかわからない映画がやっていた。不動もわたしもなんの映画か変わらずにテレビ画面に食いついていた。
そしたら、危ないシーンがテレビで流れた。その危ないシーンはキス以上のこと。
気まずくなるのでこういうシーンはやめて欲しいと心から思った。
「うらやましい」
「はぁ?あんたバカ?」
「なんでバカなんだよ」
「バカだからバカて言ってんの」
「いやらしい意味じゃねえよ、ただ、こいつら愛し合ってヤってんじゃん」
「あーそうだね」
「俺さ、たまに小鳥遊から愛されてないんじゃないかて不安になるんだよね」
「いつもの不動じゃない…」
「るせぇ」
私は最初、不動が大嫌いだった。大嫌いだった理由がサッカーが上手かったから。自分でも認めたくないけど不動は本当にサッカーが上手い。イナズマジャパンのときはベンチだったけど。
ある日の出来事で私は不動に引かれていった。中学のとき部活はサッカー部だった私は女だからって一部のチームの男子にいじめを受けていた。
私の部室のロッカーに落書きされたり、私のスパイクを私の背では届かないとこに置いたり、試合のときにパスをくれなかったり。
だけど私は負けなかった、女だけど実力でレギュラーに入った。レギュラーに入れなかったその一部の男子が私を部室から連れ出して体育館の裏に連れていった。
私はいつものようにまたなにか嫌がらせをされる思っていたが違っていた。
男子は私の手をヒモで縛って、口をタオルで塞いで、地面に叩きつけた。私は背筋が凍った、なにをされるかわかったから。男子は「お前の心ズタズタにしてやるからな」といっていた。
私は震えが止まらなくなった、あと鳥肌も身体全体に。
そして男子は私の胸をさわった、その瞬間サッカーボールが男子の頭に直撃した。
「おい、なに楽しいことしてんだよ」
「…っ、不動」
ボールを男子に当てたのは不動だった。私は不動に助けを求めたかったが口が塞いであるので求めることはできなかった。
「あんさ、俺にもその楽しいことやらせてよ」
不動がこう言うと男子は走って逃げて行った。このとき不動はチームのキャプテンだったので、男子は逆らうことが出来なかった。
不動は私に近よりヒモとタオルをとってくれた。私はやっと解放された安心で涙がでてきた。不動には見せたくなかった。
このとき思った、私は不動が嫌いなんじゃなくて好きだったんだと。好きだからこそ不動と自分を比べてしまい、自分の弱いところを見せたくなかったのだ。
「それより、危なかったな」
「…」
「俺がお前達のあとをついて行かなければお前は今頃、処女消えてたな」
「…ねぇ」
「ん?」
「…あり…が、と」
私の精一杯のありがとうを不動に言った。不動は私に背中を向けて「あぁ、」と言った。
お礼を言い私は立とうとした。だけどさっきの恐怖がまだ消えないのか足が震えて立てなかった。
すると、不動が私に近づき肩を貸してくれた。いい奴。
「肩貸し料金いただくぜ」
「ふざけるな」
「ついでに料金はお前の処女な」
「は?」
それで、今の24歳の私達にあたっている。不動に料金はお前の処女とか言われたけど、私は本当に不動にあげた。私の初めてを。
後から不動にいろいろ聞いたところ私たちはどうやら両思いだった。正直恥ずかしい。
「それで、小鳥遊は俺のこと愛してたりするのか?」
「愛してるわけねーし」
素直になれない。
「だよな」
「ごめん、嘘、すげえ不動のこと愛してる。不動居ないと生きていけない。」
「…」
「なんか言えよ」
「あ、あぁ、めちゃ嬉しくて、やべ、嬉し」
「そこまで嬉しいのかよ」
「あんさ、多分、これまで生きてきた中で一番嬉しいわ」
「おおげさ」
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