優しい花
※夏未がフィフス側
硝子のテーブルの上にある大きなろうそく2つに火を灯し、料理が奥のキッチンから執事たちにより運ばれてきた。
今日のディナーはサザエのブルギニヨンバター焼き、黒豚とフォアグラのパテ、アワビとキノコのポワレ、シャンピニョン・ド・パリのカプチーノ、鳴門スズキとホタテのポワレ、幼鹿とフォアグラのパイ包み焼き、チョコレートとグランマルニエのムースとフランボワーズのソルベである。海の物をふんだんに使った料理。
今日のディナーは夏未がシェフにリクエストしたものだ。夏未はよくシェフにリクエストする。夏未曰く、気分でかわるらしい。
「さて、頂くか」
「ええ」
俺達はディナーを食べるとき必ず二人そろわないとディナーを食べない。たとえ、俺がディナーの時間に遅れても夏未はテーブルに姿勢正しく座り待っている。俺はディナーの時間に遅れても夏未はいっさい怒らない。夏未は俺がディナーに遅れたとしても優しい笑顔で“おかえりなさい”と言ってくれる。
あの笑顔に何回癒されてきたことか。
「今日はどうだったの?」
「今日また円堂が来た」
「話したりすればいいのに」
「いや、する必要がない。俺にはやることがあるからな」
「サッカーを守ること…よね?」
「あぁ、今の俺はサッカーを守ることが一番の目的だからな」
「貴方らしい」
夏未はそう言ってサザエのブルギニヨンバター焼きに手をつけ始めた。
夏未は仕草も食べ方も上品だ。そんなところが俺は好きだ。他にも夏未の好きなところは沢山ある。負けず嫌いなところや一つのことに熱心になるところ、皆のために最善を尽くすところ、まだまだ沢山あるが俺が一番好きなところは何に対しても頑張ってやりとげるところだ。
夏未は中学生のときに初めておにぎりを作った。始めはおにぎりに塩を付けすぎたり、形がいびつで一つ一つ違う形をしていた。
だけど、夏未は美味しいおにぎりを作るために毎日おにぎりを練習していた。そして、夏未は自分で納得のいくおにぎりを作ることができた。
俺はこの姿を見て多分夏未を好きになったのだと思う。
「夏未」
「なに?」
「夏未は何故俺についてきたんだ?」
「なぜかしらね、でも貴方と一緒にいると幸せなのよ。貴方といると苦しいことや悲しいことを忘れられるの。あと、貴方の頑張る姿が好きでついて行きたくなったの」
「夏未」
「なに」
「俺も同じだ、お前といると苦しいことや悲しいことを忘れられるし、なんていんたってお前の頑張る姿が一番好きだからな」
「ふふふ、ありがとう」
「おにぎりを作っているときは本当に頑張ってたな」
「やめてよ、そんな昔の話」
「いいじゃないか、たまには昔の話に関して話すのも」
「今回だけだからね」
「あぁ」
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イシ夏にハマった結果
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