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Short story
好きなんてモノは四捨五入



好きなんてモノは四捨五入


竹谷から誘ってきたくせに、待ち合わせ場所には五分待っても10分待ってもボサボサ頭は見つからない。メールをしても帰ってこないし何やってんのあいつ!っていうか誘ったのお前だろ「3月14日デートしようぜ」とかキメッキメに誘ってきたから完全に期待してたわ!くそ!



『あー……もしもし?』

『やっと出たな白髪頭…ちょっと竹谷!いつまで待たせる気なの…!寒いんだけど!』

『んー?…ごんべえか…?』

『携帯なんだから出るときわかってたハズでしょ!なんなの?馬鹿なの?知ってるけど!』

『なんだよわめくなよ機嫌悪ぃな…………ん…?ごんべえ?』

『ごんべえちゃんですけど?』

『…ッ!?!?今何時だ!?』

『携帯手に持ってるんだからディスプレイ見てよ。そしてくたばれ』

『じゅうに…じ……わわわわわ悪い!家まで来てくんね!?』

『え、ちょ、意味わかんな『ブツッ』』



意味わかんない意味わかんない意味わかんない!え?私が迎えに行くの?私が?誘ったの竹谷だよね?私のことまたせたの竹谷だよね?っていうか悪いの竹谷だよね…?






「春眠暁を覚えずとはよく言ったもんだよなぁ」

「秀才ぶってる所悪いんだけどさ、今って春かな」

「あ、調べてやろうか?えーっと春分……春分……」

「べ・つ・に・い・い・け・ど!まず私に言うことがあるでしょ!」



「あー、今日も可愛いな!な!」


馬鹿だこいつ…いや知ってるけど…。ぷいっとそっぽをむいてやると竹谷も黙った。




……なんで沈黙なんだよ謝れよ。いや謝られても許さないけどせめて人間として!ゴメンの一言くらいあってもええんとちゃいまっか!あれっなんで私関西弁やねん!


「あー…と、さっきからお前何言ってんだ?」

「もうこんな奴と別れて三郎にアタックしようかな…あいつちゃらんぽらんに見えて意外としっかりしてるし……あーあー私なんでこんな奴と付き合ってるのかなもうこんな奴と別れて三郎と……あっループしてるわ…」




ぐるぐる頭を働かせていて、急にドン!と音がしたかと思うと、なぜか至近距離に竹谷の怒った顔があった。…っていうか鼻先くっついてて息がかかるんですけど


離れてよ馬鹿、なんて言う前にさらに距離を、つめて、…きす。したかと思えば私を閉じこめるように壁に手をつき睨んできた。ちょっとびっくりして何言おうとしたか忘れたし…なんか怖いし…!ていうか誰よ壁ドン萌とか言ったの!ふっつーに怖いわ!



「なぁ」


「な、に」

「何か言いたいこととかあるのか」

「やめて」



「本気で嫌なら抵抗してみろよ」


え、ちょ、おなかがすーすーするのですがこいつまさか服めくりあげてません?












「え」

「…え?」

「…………AVか!」



好きなんてモノは四捨五入


(まだ好きが勝ってるみたい)
(…ちょっとクズっぽいけど)


「あー胸やわらけー」
「竹谷ほんとにクズ寄りのいい男だわ」
「ん、俺も愛してる」



***
こうふく、幸福、降伏。様のWD企画より、竹谷夢を頂きました。感謝感謝!

はっぴーほわいとでー!何もできなくてさーせん!!






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