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06

樹海に潜る私の足取りは軽く、立ち塞がる魔物を仕留めつつ四階へと向かう。階段を降りていけば見えてくるのはもうすっかり見慣れてしまった、彼の目立つ金髪と赤い服。私が小走りで近付くと、彼も柔らかい笑顔で出迎えてくれた。

「リラ、今日も来たのか。よく飽きないな」
「飽きる要素がありますか?あ、今日は羽ばたく蝶亭のお姉さんに手伝ってもらって、お昼ご飯作ってきたんです。クジュラさんの分もありますよ」
「……随分慣れてきたみたいだな」
「はい、少しはそういう努力も必要かなと思ったので」

確かにこんなにも街の人たちと仲良くしているなんて、最初の頃の私からはまず考えられなかっただろう。自分が何も変わらずとも、目的さえ達成できればいいと思っていたのだ、以前は。

「食べましょう?ご飯、まだ食べてないですよね」
「ああ」

ほかの冒険者の邪魔にならないところに弁当を広げる。こんな所で呑気にお昼ご飯なんて、どう考えても異質だ。

「……ああそうだ、一応伝えておく。俺の任務だが、次は五階なんだ」
「五階…第二階層ですね」
「ああ。…またいなかったと言われては敵わんからな」
「あれは忘れてください…!」

からかうように言われて頬が紅潮する。あの時はただ不思議で、申し訳ないという気持ちのみで口を動かしていたのだ。…しかし今考えてみると、まるで私が彼のストーカーか何かみたいだ。

「うわあ……私気持ち悪い」
「そうか?」
「あ、いえ、こちらの話です」
「?……ん、旨いなこれ」
「それは良かったです、お口に合ったみたいで。流石は酒場切り盛りしてるだけありますよね、あのお姉さん」

箸を進めながらママさんを思い浮かべる。女の私から見てもかわいらしい人だと思う。それとあの胸はとても羨ましい。……あの人は男性の目から見てどうなのだろうか。凄く気になる。聞いてみようか。……けれど、クジュラさんって余り酒場とか行かなさそうにも見える。今度でいいや。

「ご馳走様。旨かったぞ」
「有難う御座います。お姉さんにも言っておきますね」







あなたのお陰で、人と接する楽しみを覚えました

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