小説 | ナノ





【アルバトロスルキ】
「ロス!」「ロスさん!」聞き慣れた声が、すっかり定着した名前を呼ぶ。軽い感じで再会しようと思っていたのに、見るなり飛びつかれた。ルキはまだ幼いからいい。おいコラ勇者お前はいくつだ。のし掛かる体重を捌きながら後悔する。しまった、ステイぐらい教えとくんだった。

【アルバトロスルキ】
「まだ持ってたんですかそれ。」「え、うん、ずっと腰に付けてた。」「レッドフォックスだもんねー。」「ちょっ、言わないでよそれ恥ずかしいから!」揶揄するようなルキの声、慌てたような勇者さんの声。欠伸をするフリをして手で口元を覆い、顔を背けた。ああもう畜生顔が熱い。

【アルバトロス】
洗濯物を取り込む最中でふと感じた違和感の正体は何だったのだろうか。ぼんやりと考えていたら、手元が狂った。地面に落ちた服を見て溜息を吐く。まあいいか、勇者さんのだし。一応土埃ぐらいは払っておこうと手に取って、はたと気づく。あの野郎服のサイズ俺と同じになってやがる。

【アルバトロス】
「そう言えば勇者さん、背伸びましたね」「今に見てろ、抜いてやるから」「はいはい頑張ってください」ああでもあんまり成長し過ぎないでくださいね。特に、今使ってるその剣とか軽々と使いこなされるようになると困るんで。後、勇者さんに見下ろされるとか考えただけで腹立つんで。

【アルバトロスルキ】
しゅるしゅると赤色が垂れ下がる。綺麗に皮が剥かれたリンゴを四等分した戦士は、半分をルキの、もう半分を自分の皿へ置いた。「え、僕の分は?」「あるじゃないですか、そこに」指し示す先には一つに繋がったリンゴの皮。栄養価が高いんですよ、ってそういう問題じゃないだろ!



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